早稲田日本語教育実践研究 第5号
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 本教材は,メインとなる練習コンテンツを細かく分割し,好きなものだけを自由に選んで学べるような作りになっている。これもスマートフォンでの利用を意識した結果である。 一般に PC は起動に時間かがかり,特にデスクトップ型の場合には,机に向かってきちんと使うようなスタイルを求められる。連続して長時間利用したり,複数の作業を並行して行ったりすることも多い。それに対してスマートフォンは,使いたいときにサッと取り出して使う,といった利用に向いていると言える。携帯性を優先したぶん画面が小さくなり,限られた情報しか一度に表示できない。複雑な操作は難しく,複数の画面やアプリを切り替えて使うのには向いていない。 このような端末の特徴を考えると,従来の PC 向け Web 教材に多い「多くの機能を詰め込んだ,じっくり学ぶための総合的なツール」よりも「機能は絞られているが,必要なときに手軽に使えるツール」のほうが,スマートフォンには向いているといえるだろう。 本教材のコンテンツは,必ずしも「まとまった時間を確保して順序良く進めなければならない」といった類いのものではなく,気軽に試してもらいたい,ポイントを絞って繰り返し使ってもらいたいというものである。そこで,コンテンツをなるべく小さな単位に分け,必要なものだけを選びやすくした。加えて,初めてサイトを訪れた学習者が早い段階で「これはどんな教材なのか」を理解してもらいやすいよう,チェック用のコンテンツは10 問に抑え,短い時間で完了するようにした。 本教材は,事前に木下ほか(2015)のパイロット調査を行った上で作成したコンテンツであったが,実際に使用してもらった時にどのように感じるのか,今後新たにコンテンツを増やす方向性,自律学習を行う上での課題を確認すべく,調査を行った。調査協力者145木下直子・田川恭識・角南北斗・山中都/自律学習を促進させるためのシステムづくり図 3 コンテンツの基本形式4.Web 教材の使用感に関する調査

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