早稲田日本語教育実践研究 第5号
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(30%)であった。「新聞記事・新書の読解」と回答した学習者もいたが,これは,主教材で扱われてはいたが,部分的に切り取っているため,新聞記事や新書から抜き出されていることをあまり認識していなかったためだと考えられる。また,教科書で扱われているテーマが偏っていたため,「さまざまな話題について書かれた文章の読解(社会的な話題以外)」という回答が 20%を占めていた。このことからも,扱う話題の多様性が望まれていると推察される。3-2-5.調査項目(5)聞くこと 「ニュースの聴解」を勉強したいと感じていた学習者が全体の 46%を占め,「読解ストラテジー」同様,「聴解ストラテジー」の学習を希望する学習者も 24%いた。また,「アカデミックな発表の聴解」に対するニーズも 23%に上っており,このレベルの学習者はアカデミックなプレゼンテーションを聞く機会も多いと予想される。 以上のように,調査Ⅰでは当該授業を履修した学習者を対象に,何を勉強したのか,また,何をもっと勉強したかったのかについての認識を問う調査を行い,「授業では勉強しなかったが,自分は勉強したかった」という回答に焦点をあてて,学習者の要望を捉えた。4-1.実施概要 調査Ⅱは,2015 年 10 月と 11 月の授業時間外に,調査の趣旨を説明し調査協力者の同意を得たうえで,インタビュー調査を行った。インタビューの際には IC レコーダーで録音した。調査協力者は,調査Ⅰの協力者のうち,特徴的な回答をした学習者 4 名を対象とした。調査協力者 A は 39 項目中,「勉強したこと」が 5 項目未満と少なく,また「勉強したこと」と「もっと勉強したかったこと」の差があった。調査協力者 B は「勉強したこと」と「もっと勉強したかったこと」共に 10 項目以上あった。調査協力者 C と D は「勉強したこと」が 14 項目と多く,さらに,「もっと勉強したかったこと」が,それぞれ20 項目,19 項目と多かった。以上の調査協力者に対して,主に履修理由,履修前の両科目への期待と履修後の評価,総合科目群に対する認識について半構造化インタビューを行った。インタビュー項目は表 2 の通りである。(1)「総合日本語 5」「総合日本語 6」を履修した理由は何か。(2)どのようなことが学べる科目だと思っていたか。(3)一番勉強になったことは何か。(4)「総合日本語 5」「総合日本語 6」でもっと扱ってほしかったと思うことは何か。(5)「総合日本語」科目はどのような科目だと思っているか。(6) 「総合日本語 5」「総合日本語 6」について,自身の感想及びクラスメートなどから聞いた声(ニーズや不満等)。117徳間晴美・伊藤奈津美/レポート活動を中心とした「総合日本語5」および「総合日本語6」の課題表 2 インタビュー項目4.調査Ⅱの概要

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