徳間 晴美・伊藤 奈津美振り返り【ショート・ノート】早稲田日本語教育実践研究 第 5 号 キーワード: 総合科目群,総合日本語 5,総合日本語 6,レポート活動,学習者の 本稿では,早稲田大学日本語教育研究センター(Center for Japanese Language:以下,討し,今回行った調査で捉えられた問題点とその後の取り組みについて報告する。ランスよく学習することを目指す「総合科目群」に位置しているにもかかわらず,レポート活動にかける時間が多く,偏りがあるのではないかという点について問題意識を抱いていた。そこで,両科目のコーディネーターとして,学習者はこの点についてどのように感じているかを把握する必要があると考え,学期末に調査を実施した。以下,2 で研究背景について説明し,3 で調査Ⅰについて,4 で調査Ⅱについて述べ,5 で考察を行った後,最後の 6 で,現在の状況と今後の取り組みを示す。 本稿で述べる「総合日本語 5」および「総合日本語 6」科目の位置づけを明確にするため,ここで,CJL で開講されている日本語科目について簡単に述べる。 まず,CJL では日本語科目を「総合科目群」と「テーマ科目群」に分けて設けており,前者は,四技能をバランスよく学習し(漢字科目を除く),定められたシラバス 1)と教材で教えるという安定性が重視されている。一方,後者は,各科目の担当教員が作成したシラバスに基づき,テーマに沿った特色ある教育を目指すという先進性が重視されている。また,学習者の多様性と主体性を尊重するという方針の下,学習者は両科目群の中から自身にとって必要な科目を選択し,組み合わせるなどして履修している。 「総合日本語 5」および「総合日本語 6」科目は,前者である「総合科目群」の中に位置づけられ,「総合日本語 5」は中上級レベル,「総合日本語 6」は上級前半レベルとされている。この両科目では,主教材として『留学生のための時代を読み解く上級日本語第 2版』(スリーエーネットワーク)を使用し,本文の読解を通して社会問題を考え,レポートを作成することが主な内容である。しかし,前述の「総合科目群」の特性を考えた場113―学習者の振り返りの分析から―1.はじめにCJL)で開講されている「総合日本語 5」および「総合日本語 6」科目の課題について検 CJL は特徴を持つ多くの日本語科目を設置しているが,筆者らは,両科目が四技能をバ2.研究の背景レポート活動を中心とした「総合日本語 5」および「総合日本語 6」の課題
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