早稲田日本語教育実践研究 第5号
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7冨倉教子/「自由発表」とモチベーション 1)趣味の写真 2)自国で流行っている髪飾り 3)自身の海外ボランティア体験 4)趣味の社交ダンス 5)日本のアニメ(有名な作品を一つ取り上げて) 6)鳥カフェに行った体験 7)スイーツを食べたレポート 8)大学でのイベント(ハイキング) 9)日本人の宗教 10)韓国の食べ物 11)ハルピン紹介 12)出身地(韓国)の紹介 13)ラーメン(種類,作り方など自国のラーメン紹介) 14)夕顔(自国の食べ物紹介) 15)趣味のダンス 「自由発表」は点数(例:85 点,90 点など)で評価されるものではなく,またクラスの成績にも影響しないものであったが,実際に行われた発表は,それぞれ言語的(文法,語彙,発音など)にも発表の内容的(パワーポイントを含めた視聴覚の効果,情報量,独創性など)にも,比較的優れたものが多かった。そして何より,学習者のテーマに対する思い入れが感じられた。また 1)の協力者は自身が撮影した写真も持参し発表の最後にクラスに紹介したり,3)の協力者は自身が実際にボランティアを行った時の写真を使ったパワーポイントで発表したり,13)の協力者のようにラーメンの作り方を動画を使用して紹介する,など工夫を凝らした発表も見受けられた。 発表者以外の学習者を話す活動に参加してもらう意味も含め,発表の最後に発表者が質問を用意し,クラスに投げかけてもらった。しかしそれに対して反応はあったものの,一度に多くの学習者が挙手をして,だれを当てるか悩むような状態は起こらず,意見を交換し合いクラスで議論に発展するようなことはほぼ見られなかった。またそれ以外にも,自由に発表者に対して質問する機会を与えたが,同様に他の学習者が発表者に多くの質問を投げかける光景はあまり見られなかった。原因として様々な理由が考えられるが,まず 1)元来積極的に挙手をして意見を述べたりせず,教師に当てられてから述べる傾向が強いクラスであったこと,また 2)発表テーマ/内容が他の学習者にとって興味の対象とならなかった,さらに 3)発表の内容が個人的なもので議論に発展しくいものであった,4)質問の内容が議論に発展しないようなものであったなどが考えられる。3-7.評価について まずここでは,「評価」は点数やアルファベットなどで表す「成績」(例:80%,100 点または A, A+, B, F など)と区別して考えたい。前述したように「自由発表」はこのような点数をつけず,またクラスの成績(A, A+, B など)を算出するその構成要素(例:出

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