上田潤子/名前とアイデンティティ I : これからどこで働きたいですか?I : アメリカには行ったことはあるんですか?I : 行ったことはないけど。その,インターナショナルスクールにはアメリカ人がたI : そうなんだ。なんでアメリカに行きたいの?I : あ,そうなんだ。フィリピンのときの友だちがみんなアメリカにいる。 D と E は仲がよく,漢字のクラスではいつも一緒に座っていた。フィリピンと日本とI : 自分の名前は好きですか?I : [日本名の前半]ちゃんってみんな呼ぶんですか? Y 学部では,E(ここでは説明のため仮名をマサキとする)の仲のいいグループの中に,Saki と Sumi になりました。I : (笑)おもしろい。105■今後のことE: フィリピンで自分のビジネスを始めたいですが,アメリカにも行きたいですね。E: いや,まだないです。くさんいましたか?E: いや,あんまりいません。E: あの,まあ,友だちほとんどみんな今アメリカに行って。はい。E: はい。で,大学院もアメリカで行くかもしれません。 ビジネスを学んでセブ島でレストランを持ちたいという。家族もみんな料理が好きだから一緒にやるつもりだという。いう組み合わせが共通で,学部も学年も同じである。しかし D がアイデンティティや進むべき方向を模索中であるのに対し,E は「フィリピン人」というアイデンティティも,アメリカでビジネスを学んで,セブ島に帰って家族でレストランを持ちたい,という今後の目標も,明確になっている。■名前は友だちが改造してくれるE: はい。E: はい,ちっちゃい頃から。日本人の友だちが付けました。 小中学校の間は週に 1 回補習校に通っていたため,フィリピンでも日本人の友だちがたくさんいたという。そこでは古典的な日本のあだ名で呼ばれていた。同じニックネーム Mas を持つマスミ(仮名)がいたため,それぞれを Saki と Sumi と呼ぶようになった。それで,E の今のニックネームは Saki である。E: 友人がマスミ(仮名)っていって,英語で Mas。僕も昔 Mas だった。だから,
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