舘岡洋子/ことばの学びの中継点としてInternational Learning Lounge)内の日の当たる部屋に移転しました。それは同時に「わせ3.今後さらに求められるCJLの「開放性」―ことばの学びの中継点としてす。院生たちが質問にすぐに答えてくれる便利な場所でもありますが,むしろ,自身の学び方についていっしょに考えてもらう場となることこそがめざしていることなのです。設立当初は,専用の場所がなく,多くのCJLの授業が開講されている22号館の空き教室を使って開催されていました。2012年にやっと22号館8階にサポート専用の部屋が確保されましたが,窓のない部屋で,しかも8階まで上がってくる留学生も多くはありませんでした。その後,2014年に同じ22号館内の3階にある学習ラウンジWILL(Waseda だ日本語サポート」の活動自体にも日が当たってきたということができるでしょう。今後は,院生だけではなく学部生もサポート活動が担えるように,2016年度からは,CJL教員たちによってグローバルエデュケーションセンター(GEC)に全学の学部生向けの「日本語学習アドバイジング」という科目が開講されます。多様な留学生が主体的に学ぶことを支える場として,「わせだ日本語サポート」は大きな役割を担いつつ,これからも成長を続けることになるでしょう。全学の中長期計画である「WASEDA VISION 150」では,外国人学生数1万人という数値目標が掲げられています。今後は,さらに留学生数の増大が見込まれる中,全学の日本語教育機関としては,多様性と主体性に加え,第3の特徴として開放性をめざしていくことが重要ではないかと考えます。留学生にとって,日本語を学ぶことは最終目的ではありません。CJLで学んだあと,学んだ日本語を使って,各学部や研究科,あるいは就職先の企業で自身の可能性をさらに伸ばしていくことになります。したがって,CJLとその先の機関等との連続性ということがきわめて重要だと考えます。CJLという場は,日本語が十分でない留学生を集めて集中的に日本語の授業を提供し,あるレベルになったら外に送りだす,という閉鎖的な場であってはならないと思います。CJLが開放性をもって学内の他箇所や学外,社会と連携し,その中継点としての責務を果たしていくことは,今までにも増して重要となってくるでしょう。CJLは日本語を学びたいすべての留学生たちに向けて,多様なプログラムからなる豊かな学習環境を提供し,彼ら/彼女らには主体性をもってその場を利用し,早稲田大学という大学で自分の夢を果たしていってほしいと思います。また,CJLでは,留学生と日本人学生とに二分しないという意味で,両者の垣根をなくしていく開放性も必要だと思います。たとえば,先述の学部生向けのGEC科目「日本語学習アドバイジング」の授業を経験して育ってきた学生たちは,「わせだ日本語サポート」のスタッフとしてばかりでなく,早稲田大学でともに学ぶ者として,自身の所属学部など身近にいる留学生たちをサポートし,互いに学んでいくにちがいありません。全学でそのような学生が増えることこそ,留学生と日本人学生がともに学ぶことができるグローバル大学だといえるのではないでしょうか。そして,留学生は「日本語が十分にできない」「支援されるべき」人々ではなく,いっしょに協力して学び合うべき人々であることに体験的に気づいていくことでしょう。先にあげた多様性や主体性をCJLの中だけに閉じ込めておくのではなく,全学で豊かなことばの学びが起きるように,CJLはその中継点としての5
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