早稲田日本語教育実践研究 第4号
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塩﨑紀子/知って,話し合って,深めて,述べる科目名:新聞を読むレベル:初級1・2/中級3・4・5/上級6・7・8履修者数:15名〜20名(2012年春〜2015年春)表1 2015年度春学期 学生の受講理由タイムリーな話題について知りたい。日本で今起こっている事件について知りたい。読む力をつけたい。他の人の意見を聞きたい。いまホットな話題について議論したい。常識を身につけたい。内容を自力でまとめられるようになりたい。辞書を使わずに読んで,分析できるようになりたい。先生とみんなの意見を知りたい。記事を読んで,解説を聞き,深く知りたい。塩﨑 紀子日常会話以外の語彙,特に漢語を知りたい。記事を読みながら,単語を学びたい。新聞の読み方を知りたい。一人では読みにくい。基本的な読み方を知りたい。新聞を楽しく読めるようになりたい。新聞を読んでいなかったので,読みたい。国で記者をしていたので,日本の新聞に興味がある。早稲田日本語教育実践研究 第4号 1.授業の目的新聞を読んで,それぞれの主題に特徴的な話の組み立てや表現方法,語彙を学習するとともに,背景知識を整理し,新聞メディアの解読をめざす。また,グループや全体討議を通じて,多角的な視点を持つことで,自分の考えを深め,意見が述べられるようになる。2.学生の傾向毎学期,受講理由をたずね,授業に反映させるように努めているが,ここ数年は,日本語力の向上やメディアリテラシーに加えて,他の学生の意見を知りたいという学生が増えているように思う。実際の授業でも異なる見方に関心を深めていることがわかる。3.授業の概要3-1.授業の進め方日本語教師として学んでもらいたい事柄と学生の要望・知的関心を実現するという点から,授業を3つの作業タイプに分け実施している。1.教師が選んだ記事を教師作成のワークシートに沿って精緻に読んで,日本語の知識を得るとともに,新聞記事の読み方を学び,要約と意見述べの基本作業をする。適宜,意見をコースナビにアップする。2.ひとつのテーマについて,複数の新聞社の記事や主張を読み,伝え方や表現を比較・分析して,特徴を知る。この作業はペアやグループで1誌を担当し,レジュメを用意して分析結果を報【実践紹介】81知って,話し合って,深めて,述べる―「新聞を読む」の実践―

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