早稲田日本語教育実践研究 第4号
73/112

氏名/東京の街を探検しよう科目名:日本語で東京探検レベル:初級1・2/中級3・4・5/上級6・7・8履修者数:35名長田 紀子早稲田日本語教育実践研究 第4号 1.授業の目的このクラスでは,東京の街の中で興味を持ち,行ってみたい場所について調べた後に,実際に行ってみる。主な目的は日本の社会,文化に対する理解を深めること,及び,調査,レポート作成,発表の基礎的な技術を学ぶことである。2.授業の内容と進め方このクラスでは,概ね次のように授業を進めている。①東京の街で訪問してみたい場所を,クラスで6か所選ぶ②興味のある場所ごとにグループを作る③その場所に関連したことで自分の興味のあるテーマを,各自決める④テーマについて調べる⑤レポートを書く⑥レポートの内容をクラスで発表する⑦各場所を全員で訪問する発表と訪問は隔週に行う。ある場所を訪問する前週に発表を行い,その場所やそこに関係することについて知識を得たり考えたりしてから訪問する。今までに訪問した場所の例は,以下の通りである。国会議事堂,東京地方裁判所(傍聴),浜離宮庭園,靖国神社,皇居(皇居内,東御苑),谷中銀座商店街,ジブリ美術館,原宿,明治神宮,築地市場,高円寺商店街,新宿御苑,NHKスタジオパーク,上野公園,日本武道館,サントリービール工場,アフガニスタン大使館等。3.授業で重視していることこの授業で特に気をつけて指導しているのは,調査のテーマの決め方と,レポート作成である。テーマを決めるにあたっては,「その場所の外面的な様相」のみを調べるのではなく,「その場所に関係のあることで自分の関心のあるテーマ」を選ばせるようにしている。例えば国会議事堂の場合,建物の面積,構造などではなく,日本の政治に関することや,また建物の歴史からどのようなことが分かるかを調べるようなテーマである。また,レポートは単なる情報の羅列ではなく,自分の考えや判断を入れて書くように指導しており,報告文や感想文ではなく,内容,形式共に小論文に近いものを書かせるよう心がけている。【実践紹介】69東京の街を探検しよう―自分の視点で調べ,考える―

元のページ  ../index.html#73

このブックを見る