森下雅子/人と人をつなぐ学習環境のデザイン科目名:日本の良さを知る〜伝統文化を学ぼう 知識編4-8・実践編4・5-8レベル:知識編:初級1・2/中級3・4・5/上級6・7・8 実践編:初級1・2/中級3・4・5/上級6・7・8履修者数:知識編:35名,実践編4:40名,実践編5-8:40名森下 雅子早稲田日本語教育実践研究 第4号 1.授業の概要「伝統文化を学ぼう」の授業は,大きく「知識編」と「実践編」に分かれている。双方とも日本の,そして自国の伝統文化を改めて知ってもらうために,①日本の音楽,②日本の演芸,③日本の衣服・美,④日本の工芸,⑤日本の食,⑥日本の武道という,主に6つのテーマを設定し,幅広い分野を学べるようにしている。まず,「知識編」の授業では,学生は最初の授業で上記6つのグループのいずれかに入り,その中でそれぞれ何を発表するかという棲み分けをする。プレゼンの時間は一人6分である。それが終わった後にグループでクラス全員を巻き込んだ10分のワークショップを行う。たとえば武道グループなら剣道,合気道,柔道などの個人の発表を行い,ワークショップではクラス全員で空手の型をやってみるなどである。さらにその他にも,ゲストの先生による講義&実践(4回)と演劇博物館見学がスケジュールに組み込まれている。ゲストの先生方は毎期ごとに変わる。2015年度春学期は小鼓,香道,和太鼓,白拍子・声明で,秋学期は侍道,古典生花,ちぎり絵,江戸っ子の生き方と言葉である。次に,「実践編」であるが,「知識編」とは異なり,学生によるプレゼンはなく,伝統文化の体験が主となる。ゲストの先生による講義&実践が7回である。これも毎期内容が変わり,2015年度春学期は長刀,稲荷寿司,アコーディオン民謡,落語,古代文字,家紋,風呂敷で,秋学期は空手,手まり寿司,蒔絵,粋曲,民踊,和太鼓,能である。その他に歌舞伎・文楽の鑑賞教室,相撲観戦,そして学んだことを振り返りながら日本語ボランティアとともに行うディスカッション&発表で授業が構成されている。2.授業の目的本授業を始めた元々の動機は,日本でしかできない体験をすることにより,留学生に良い思い出を作ってもらいたいというものである。日本語だけなら世界の多くの国で学べるが,単に映像や活字だけではなく,実際に自分の身体で日本の文化を体験できる機会は少ないであろう。さらに日本語ボランティアの募集に力を入れ,授業には常時多くの方々に参加してもらっている。それも自国では実際に日本人と触れ合う機会が少ないであろうから,多くの学びのリソースを準備してあげたいと考えたためである。【実践紹介】67人と人をつなぐ学習環境のデザイン―授業におけるネットワークの構築―
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