早稲田日本語教育実践研究 第4号
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早稲田日本語教育実践研究 第4号/2016/55―59図3 リップロール3)③リップロール次に,リップロールを行う(図3参照)。リップロールとは「唇を合わせた状態で息を吐き,唇を振動させる」ことである。子供のとき,唇をブルブルと,震わせて遊んだことがある人もいると思うが,それが,ボイストレーニングのレッスンになるのである。1回の息で深く長く,リップロールを続けることがこつである。その効果は,以下の3点である。リップロールは,発声の際の力みを防ぐことができ,喉を開いた発声で,唇で支えることによって胸や肩に入る力を逃し,叫ぶように張り上げる声を防止し,小さくても高音が出せる声の出し方を身につけることができる。④腹式発声練習次に,腹式発声練習を行う。最初はハミングから始めるとよい。腹式呼吸しながら,ハミングで「フーン」と声を出すことから始める。深く長くハミングする。極限まで息を出し続けたり,吸い続けたりする。これがマスターできたら,今度は「あー」と声を出しながら腹式呼吸を行う。ハミング同様,深く長く声を出し続ける。以上を授業前に行うことで,授業のときに声が出しやすくなり,響く声を出すことができる。また,教科書を音読する際や発話する際,口や唇を大きく動かして読むようにしている。これを意識するのとしないのでは明らかに,滑舌の良さの差が感じられる。このように,普段から,ボイストレーニングを行うことで,学習者にきれいなモデルを聞かせることができる。4-2-2.学習者に対する発声指導学習者は,座って授業を受けているので,ややもすると,声は下にこもりがちである。姿勢も悪く,本人以外の学習者の声は,聴きにくい場合が多く見受けられる。そうなると,応答練習やドリル,発表などで,教室活動に支障が出てくる可能性がある。筆者は,教室活動において,学習者にも,音読やコーラスのとき,簡単なボイストレーニングを行っている。まず,姿勢をよくすることが必要である。学習者に,姿勢を正し,背筋を伸ばすよう伝える。そして,腹式呼吸の方法を説明し,数回行わせる。その後,発声するときは,前方よりもやや上の方を向いて,2メートルぐらい離れた人に声をかけるつもりで,発声するといいと指導する。そうすることにより,声を響かせることができるのである。筆者が学1. 声帯をマッサージし,動きをよくする。2. 息の使い方,吐き方のコントロールが身につく。3. 腹式呼吸から発声への準備運動になる。58

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