5.の学習支援者のふりかえりをもとに,1プログラム内で「ラーニング・コモンズ」の早稲田日本語教育実践研究 第4号/2016/45―546.考察と「ラーニング・コモンズ」今後の課題スンに近いと感じることも多かった。自分の役割としてこれで良かったのだろうかという迷いのようなものもあった」「「ラーニング・コモンズ」の活動では,アドバイザーとしてはただ受け身で,研修員の要求の範囲内でしか自分の主体性が発揮できないと感じた。これで良かったのだろうかという思いはある。例えば授業の様子を見学し,その後,その日(またはその週に)習った表現を使って自由に会話をする等,もう少し積極的な関わり方を自分自身でも考えられなかったか,反省している。プレゼンテーションに関しても同様で,もっと役に立てる方法があったのではないかと考える」「なかなか日本語が定着しないから,とにかく何か日本語で会話をしたいと,「ラーニング・コモンズ」に来た研修員がいた。アドバイザーとしては,このような研修員の相手がもっとできたら良かったと思う。時間がないからなのか,話し相手としてアドバイザーがあまり魅力がなかったからなのか,その研修員が「ラーニング・コモンズ」に続けて来ることがなかったのが残念である」・設計・コーディネーション担当者のふりかえりアドバイザーと「ラーニング・コモンズ」のイメージの共有や,役割をどのように考えていくのかについて,現状や担当者個人の考えすら伝えきれていないことを認識し,もどかしさを感じている。「学習支援のアドバイスをどの観点から行うのか。人によってその時の状況によって,観点を変えるのがいいのか。長期的に1人にじっくりつきあう仕組みにするのか考える」「アドバイザーがもっと主体的に関われるようなことを考えたい」「最初の設計意図と変わってきたので,場所もやり方ももっと変えてしまえばよかった」「最初の設計意図やプロセス上の意図をアドバイザーにきちんと伝えられていたかは疑問」ような学習支援空間を設計・運営,学習支援するにあたっての課題をまとめたい。美馬・山内(2005)は,学習環境設計を「活動」「空間」「共同体」の観点から考えることをすすめている。次にこの流れに沿って考察し,今後の「ラーニング・コモンズ」への展望としたい。6-1.「活動」当初,考えていた学びの形と実際の「ラーニング・コモンズ」における学びの形にズレがあった。「ラーニング・コモンズ」を企画・デザインした当時,設計・コーディネーショ52
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