佐野香織・太田亜樹子・高千叶・東雅江/学習支援者が経験したETP30ラーニング・コモンズチング・時間調整は運営者が行う方法),インテンシブ3期からは予約式(事前に当日の時間・担当アドバイザー名が書かれた表に,研修員が希望を書き込む方法)に切り替えた。アドバイザーからもこうした設計の変更による影響について指摘があった。「インテンシブの予約制はとても効率的だと思います。ただ,イントロダクトリーより初級の研修員の利用が少なくなったと思います。また,イントロダクトリーの時と同様に,利用してくださる方は基本決まっています」「「ラーニング・コモンズ」の時間が予約制になり,ひとりひとりと落ち着いて向き合えるようになった」・アドバイザーのふりかえり(1)アドバイザー役割とチューター役割イントロダクトリー期当初のイメージ的「アドバイザー」の役割と,研修員からの要望や希望にこたえる「チューター」の役割など,その都度どのような役割で応じたらいいのか試行錯誤しながら進めていた。「内容は,宿題でわからないところを一緒に取り組む,既習の項目で理解できていないところの復習,テキストの会話の練習,リサーチプレゼンテーションの準備の手伝いなど」「イントロダクトリーの時は,文法や日本語の基礎知識についての質問が多かったのに対して,インテンシブではプレゼンについての質疑応答が多かったような気がします。専門用語や知識が多く自分の力不足を感じました」「発音のアドバイジングが不十分だった。事後,ペーパーで補完したが,自分自身も勉強すべき項目だと思う」「既習者が主に利用していた。ビジネス場面の言葉遣い(トーク)など,その場に応じて,適切さに差があることを伝えた。ただし,あきらかな不適切表現でなければ,テキストどおりの語句でなくても,職場では全く問題ないので,本人が自分で考えた文をまず聴き,それを修正する形でアドバイジングした」「電子辞書やオンラインの辞書を使う方が何人かいました。プレゼンなどの準備を通して,日本語の打ち方が分かるようになったからだと思います。辞書を利用することは研修員の方々の自主的な学びを促すことと,アドバイザーとのやりとりをより円滑にする上では非常に有益だと思います」(2)アドバイザーの役割に対する問い直しこうした役割をその都度「演じ分け」ながらアドバイザーをする中で,自分の役割についての疑問,「ラーニング・コモンズ」におけるアドバイザーができることは何か,できたことは何か等アドバイザー役割についての問い直しをしている。「自分がやっていることが,アドバイザーの仕事というより,むしろプライベートレッ51
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