早稲田日本語教育実践研究 第4号
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早稲田日本語教育実践研究 第4号/2016/45―54ラーニングアドバイザーとして,「ラーニング・コモンズ」のあり方や自らの立ち位置を考える声も出てきていた。「パーティー11)には大学生などボランティアの人も参加していたが,「ラーニング・コモンズ」のアドバイザーとしてはもう少し違う形で深く関わる方法もあったのではないかと思います」「日本での研修期間で,当初より日本語が好きになったと思えるような場づくりができないかと思った」・設計・コーディネーション担当者のふりかえり「当初は,一つの机を囲んで学びあっていたり,話をしたりする姿も見られたので,「「ラーニング・コモンズ」のあり方としていいなぁと思っていた。でもしばらくたつと,授業の課題やスケジュールをこなすのに精一杯。授業に関する質問やクイズ対策のためにアドバイザーセッション目的で訪れる人だけになってしまった」「アドバイザーに誰かが質問していてもそこにjoinして話していいと伝えたが,「恥ずかしい」とか「レベルが違うから」とかで入らない。アドバイザーが空くのを待ちきれずに帰ってしまうこともあり」「人が話しているところで勉強したくない,アドバイザーとの話を聞かれたくないという人もいて,別の教室で勉強している人もいた」「アドバイザーとしてお願いしているのに,アドバイザーは研修員にとっては「チューター」になっている。分からないことを聞いたら,とりあえず答えをくれる人。でも,答えがすぐに必要な人が来ているのも事実」イントロダクトリーでは,「ラーニング・コモンズ」を利用する研修員の目的,利用方法,学習方法の変化に従い,アドバイザー・担当者共に,「ラーニング・コモンズ」を設計した当初の「ラーニング・コモンズ」のイメージ,アドバイザーの役割自体に揺れや再考が見られることが分かる。5-2.インテンシブ期における「ラーニング・コモンズ」「ラーニング・コモンズ」は当初,日本語集中学習期であるイントロダクトリー期のみの開催を考えて設定しており,インテンシブ期の開催については未定であった。しかしイントロダクトリー期終了後,研修員にアンケートをしたところ,多くの研修員から「ラーニング・コモンズ」の継続の声が挙がっていたためインテンシブ期からも引き続き継続することになった。アンケートから「オープンな環境でアドバイザーと話したくない。1人1人の時間をとってほしい」「アドバイザーとのセッションの時間を決めてほしい」等の声が挙がっていたこと,アドバイザーのふりかえりにもあるように,「ラーニング・コモンズ」へ来る研修員の固定化が見られたことから,方法を変更した。インテンシブ1期からは,アドバイザーとのアクセス方法はドロップイン方式からサインアップ方式(希望者は当日,自分の名前を申し込み表に書き,アドバイザーとのセッションを確保する。マッ50

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