佐野香織・太田亜樹子・高千叶・東雅江/学習支援者が経験したETP30ラーニング・コモンズキーワード:ラーニング・コモンズ, 学習環境, 学習支援, ラーニング・アドバイザー1.はじめにEUビジネスマン日本研修プログラム(ETP)1)は,日本市場への進出または事業拡大を目指すEU企業のビジネスパーソンに対して,日本でビジネスを行うためのトレーニンETP30ラーニング・コモンズ(以下,「ラーニング・コモンズ」)とは,日本語コンポー早稲田日本語教育実践研究 第4号 グを提供する人材育成プログラムである。本学は,欧州員会(EU)の委託を受け,ETPの日本におけるトレーニングプログラムの企画・運営を行っている。このうち日本語教育を担う日本語コンポーネントは本学日本語教育研究センターの教員が担当している。日本語コンポーネントでは,日本での生活やビジネス場面に必要なコミュニケーション能力の獲得を目標とし,ETPに参加するEUビジネスパーソン(本プログラムでは研修員と呼ばれている)に対して日本での学習環境を生かした日本語学習コースを提供してきた。ETPは1979年以来継続しているプログラムであり,2015年度はETP30期にあたる2)。本稿では,このETP30期(以下,ETP30)日本語コンポーネントで行われた日本語学習支援空間「ETP30ラーニング・コモンズ」における学習支援者の活動に焦点をあてたい。ネントに参加する研修員の学習環境を整え日本語学習をサポートするために,ETP30期に初めて設置された学習支援空間のことである。前年期までの日本語コンポーネントのふりかえりをふまえ,常勤インストラクター3)の担当者が日本語コンポーネントの学習支援の一つとして企画・運営し,主に本学大学院日本語教育研究科院生と日本語教育研究センター助手1名4)がラーニング・アドバイザー(以下,アドバイザー)として学習支援に関わってきた5)。以下に,まずラーニング・コモンズの理論的背景に簡単に触れ,ETP30において「ラーニング・コモンズ」を立ち上げた経緯を説明する。その上で,ラーニング・コモンズにおける研修員の学びを支える学習支援者として,アドバイザー,および「ラーニング・コモンズ」の企画・運営・コーディネーション担当者,両者のふりかえり6)をまとめる。そして,このふりかえりを元に,1つのプログラム内で設計・実施した「ラーニング・コモンズ」について課題を述べたい。【ショート・ノート】45学習支援者が経験したETP30ラーニング・コモンズ佐野 香織・太田 亜樹子・高 千叶・東 雅江
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