早稲田日本語教育実践研究 第4号
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小宮千鶴子/理工系留学生のための数学の専門連語の選定7) NHK教育テレビの中高生向け番組「10min.ボックス公民」(http://www.nhk.or.jp/)では,「市場経済の仕組み」などの10分番組をナレーションの文字化を見ながら視聴できる。ラジオには「NHK高校講座」の20分番組「現代社会」「政治経済」がある。いずれもデジタル教材として公開されている。8) 小宮(2006a)では174語が選定されたが,「重複順列」が教科書索引調査に従って「じゅうふくじゅんれつ」「ちょうふくじゅんれつ」と2語とされていたため,専門語辞典で確認して後者に統一して,173語に修正した。9) 「グラフがオイラー回路をもつ」など3語から成る専門連語は,「グラフがもつ」「オイラー回路をもつ」のように2語から成る係り受け関係を内部にもつ。本研究では,3語から成る連語も2語から成る連語と同様に専門語との直接的な係り受け関係を重視し,2語の連語2種として扱う。 10) “CaboCha”は奈良先端科学技術大学院で開発された構文解析のためのフリーソフトウェアで,次に工藤拓氏による解説がある。http://chasen.naist.jp/chaki/t/2009-09-30/doc/mecab-cabocha-nlp-seminar-2009.pdf(2015年11月23日閲覧) 11) 高校教科書索引から選定した専門語の品詞は,筆者が決定した。動詞の専門語は,収束する,振動する,積分する,接する,発散する,微分するの6語とした。形容詞は「微分可能」のみとし,「独立,連続」は「独立な解」のように連体修飾語になる場合のみナ形容詞とした。 12) b)の専門連語を構成する名詞は,値,級数,等比級数,数列,符号,文字,無限大の7語で,「∞」「−∞」は無限大を表す記号なので,無限大に含めた。 13) 中学の数学は,無料学習サイト「いーぼーど」(http://www.eboard.jp/)において10分以下の動画と問題によって学習できる。高校の数学は,「NHK高校講座」のテレビ放送に「ベーシック数学」(10分)と「数学Ⅰ」(20分)があり,ラジオ放送に「数学Ⅱ」(20分)があり,いずれもデジタル教材が公開されている。参考文献石井正彦(2007)「専門語」飛田良文主幹『日本語学研究事典』明治書院,p.534.岡益巳(1992)「非漢字圏からの留学生のための日本経済基本用語表」『岡山大学経済学会雑誌』23(4),745-783.影浦峡(2010)「ターミノロジー」言語処理学会編『デジタル言語処理学事典』共立出版,94-95.門倉正美(2005)「教養教育としてのアカデミック・ジャパニーズ」『言語』34(6),大修館書店,58-65.国立国語研究所(1981)『専門語の諸問題』(国立国語研究所報告68)秀英出版,(宮島達夫氏執筆)小宮千鶴子(1995)「専門日本語教育のための専門語―経済の基本的な専門語の特定をめざして―」『日本語教育』86,81-92.小宮千鶴子(2002)「専門連語と専門連語辞書」『情報知識学会誌』12(1),20-31.小宮千鶴子(2003)「専門連語の構造―形式面の量的構成を中心に―」『早稲田大学日本語37

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