早稲田日本語教育実践研究 第4号
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3) 「経済のにほんご」の開発に関しては,小宮(2016)を参照。注 6) 文部科学省の「平成27年度学校基本調査(速報値)の公表」によると,2015年5早稲田日本語教育実践研究 第4号/2016/25―44syntagmaticな連想は,いずれの場合も読解との間に有意な中程度の相関があると http://www.mext.go.jp/component/b_menu/other/__icsFiles/afieldfile/2015/08/18/本文を資料として,539種を選定した。それらは共起する語の品詞から,動詞との専門連語175種,名詞との専門連語342種,形容詞との専門連語22種に分類された。名詞との専門連語が全体の約64%を占めて最も多く,1級語彙の名詞(専門語を含む)をとる連語が約48%と半分以下であることから動詞との専門連語に比べて難しいことが判明した。動詞との専門連語は,1級語彙の動詞をとる連語が約83%を占め,名詞との専門連語に比べて易しいことが判明した。形容詞との専門連語は,約4%だった。中学の数学用語は多種の専門連語を作ることから,高校初出の数学用語よりも基本度が高いことがうかがわれた。名詞との専門連語には,一般語の名詞と分類した語の中に中学の数学用語が多かった。選定された高校卒業程度の専門連語の学習方法については,「数学のにほんご」のような学習サイトの開発は,可能であろう。さらに,そのサイトを高校卒業程度の数学のデジタル教材13)や読解教材と組み合わせて特定の単元の学習に即して使用すれば,文脈の中で専門連語の学習を繰り返すことになり,数学用語の運用力をより高めると思われる。数学用語の学習サイトの開発などは,今後の課題としたい。1) 文部科学大臣指定の準備教育課程がある日本語教育機関では,数学・理科などの教科の指導も日本語で行われる。2015年1月28日現在,準備教育課程のある日本語教育機関(http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/shikaku/07111314/001.htm)のうち同年4月の時点で履修可能な日本国内の課程は26である。2) 高校の数学に関する留学生の母国と日本とのカリキュラムの違いに関しては,佐藤(2003),宮川(2013)を参照。4) 連語が表現に有用であることは,直感的に納得できるが,理解にも有用なことが実験的な研究によって示されている。堀場(2015:39)は,中国語母語話者と韓国語母語話者を対象に語彙知識と読解との関係を調査し,連語として現れるしている。5) 早稲田大学日本語教育研究センターで筆者が担当するテーマ科目「使えることばの増やし方5-6」では,中級後半の学習者を対象に日本語の文章から一般語の連語を取り出す練習を行っており,学期末には多くの学習者が適切に連語を取り出せるようになっている。同科目では専門語の連語を扱わないが,専門語に関心のある複数の学習者に専門語の連語を取り出せるかと尋ねたところ,自信があるとの回答を得た。月1日現在,短大・大学に現役で進学した者の割合は,過去最高の54.6%となった。136072208/18/1360722_01_1_1.pdf(2015年11月29日閲覧)36

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