小宮千鶴子/理工系留学生のための数学の専門連語の選定レベル専門語数専門連語があった専門語の数と割合中学28語数学Ⅰ38語数学Ⅱ51語数学Ⅲ40 語157語5-1.専門連語の専門語高校卒業程度の数学の専門連語は,小宮(2006a)の173語のうち133語について539種が得られた。173語中28語は,前掲の文部科学省(2007)の中学の数学用語と一致したため中学レベルの専門語とし,残る145語を高校の数学Ⅰ,同Ⅱ,同Ⅲの初出順に分け,それぞれ専門連語が得られた専門語数を表1に示した。表1の専門語の合計が157語で173語より少ないのは,「解の公式」など句形式の専門語16を除いたためである。全体では約85%の専門語に専門連語が得られた。段階別では中学の専門語が約89%で最も高かったが,いずれも80%台だった。表2は専門語1語あたりの専門連語数を示す。専門連語数の計が669種で539種より多いのは,「要素の集合」など2語の専門語から成る専門連語が130種あって,専門語ごとに専門連語数を求める際に重複したためである。専門連語の全体に占める割合は,中学の専門連語が約35%で最も多かった。専門語1語あたりの専門連語数も中学の専門語の専門連語が最も多く9.4種で,全体平均より4ポイント以上多く,高校初出の専門語の専門連語がいずれも5種未満であるのとは対照的である。多種の専門連語を構成した専門語は少数だった。133語の専門語のうち10種以上の専門連語を構成したのは17語のみで(表3),76語は3種以下だった。10種以上構成した17語のうち9語は中学の用語で,20種以上の専門連語があった「関数,集合,グラフ」は,すべて中学の用語だった。中学の専門語は,高校教科書で初出の専門語よりも基本度が高く中学教科書から登場するため,高校初出の専門語よりも多種の専門連語が得られたものと思われる。5.専門連語の選定結果と考察計25語(89.3%)32語(84.2%)42語(83.6%)34語(85.0%)133語(84.7%)表1 専門連語が得られた専門語数31
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