1,漢字テストで間違えた字と正しい答えを書いて下さい。秋山麻衣耶・林亜友美/中上級の漢字学習者による学習者主体の自己分析図3 FBシート記入にあたっての指示文,および記入例FBシートを記入する際の指示文および1回分のFBシートの記入例である。FBシートはA4サイズの用紙1枚の両面を使用した。1学期全15回分の記入内容を1インタビューは担当クラスの教師が個々に行い,1人あたり20分を目安とし,その内容はICレコーダーで録音した。インタビューは半構造化で行った。共通質問事項として,日本語学習歴,漢字学習歴,クラスを履修した動機,フィードバックシートを取り入れた学習に対する感想,今後の漢字学習の進め方について尋ねた。3-2.実践内容「セルフ・フィードバック」の活動では,毎回の授業で行われる漢字テストを返却する際に漢字テストと同時に専用の記録用紙である「フィードバックシート」(以下,FBシート)を配布した。FBシートとは,学習者のテストにおける①誤り,つまり間違えた漢字,②正答,③間違えた理由を毎週継続的に記録していく用紙(資料1)である。次の図3は,〈記入にあたっての指示文〉2,どうして間違えたか,その理由を書き,今後どうすれば間違えないか,対策を考えて書いて下さい。3,間違えがなかった学生は,覚える時に難しかった漢字(読み・書き)を書き,どうしてその字が難しかったかを考えて書いて下さい。□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□枚の用紙に収めたのは,毎週同じ1枚の用紙に書き込むことによって,記入する度に前回の記入内容が自然と目に入り,自己の学びの過程を内省することを意図したものである。学期末にFBシートの全ての記録が終了した時に,1枚の成果物が完成するようになっている。最終的にはこの完成したFBシートを見れば学期を通した学びを振り返ることができると考えた。このFBシートには全15回分の授業の日付と四角い枠組みだけが書かれており,書くべきことは指示されているものの,書く内容や書き方などは学習者に委ねた。これは,「漢字4」および「漢字5」レベルの学習者が日本語能力的にも認知能力的にも自分のことばで書くことが可能だと判断したからである。学習者がFBシートに書いた内容に対して,教師は感想などのコメント・問いかけをし□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□13
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