早稲田日本語教育実践研究 第4号
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図1は,「セルフ・フィードバック」によって生じる学びの過程を表した図である。左秋山麻衣耶・林亜友美/中上級の漢字学習者による学習者主体の自己分析図1 「セルフ・フィードバック」うことによって,自己の学習と向き合い,誤りに対して自らフィードバックを行うこととした。漢字テスト結果における誤りに対して学習者が自己分析を行い,自身の漢字知識の偏りや誤りの傾向などに気づき,それを踏まえて今後の学習に生かすことは,自律学習を目指す上で有効であると考えられる。そのためには,自分で自己の学習に対して主体的に行うフィードバックが適するのではないだろうか。本研究では,新しいフィードバック活動のあり方として「セルフ・フィードバック」を提案する。「セルフ・フィードバック」とは,学習者が誤りの分析を繰り返し行いながら自己と向き合い,漢字知識の偏りや誤りの傾向を把握し,学習方法を問い直す活動である。その際に,フィードバック・シートを用いることで,教師による学習者への問いかけがなされ,これにより学習者の自己分析が深まり,学びが促進されると考えたのである。側は学習者,右側は教師の対応を示している。「セルフ・フィードバック」を通して学習者が誤りに対する気づき,原因の分析,学習方法を問い直す自己分析を絶えず繰り返す様子である。最終的に,学習過程に応じて自分の誤りを解消するための問いかけを繰り返す9

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