早稲田日本語教育実践研究 第3号
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60早稲田日本語教育実践研究 第3号/2015/53―60国内の刑務所に収監されている外国人被収容者(F指標受刑者)は,生活習慣,宗教,文化,言語等の相違から,日本語による意思の疎通が不十分であり,施設内での処遇上特段の注意や配慮が求められる。本申請は,法務省矯正局との連携の下,社会文化,食生活習慣,言語等の差異を考慮に入れながら,処遇担当刑務官の職務能力の向上や,施設内での国際化対応を図るため,2015年度に向けたF指標受刑者の日本語指導プログラム開発ならびに科研費申請に向けたパイロット調査と位置付ける。法務省矯正研修所での,外国人被収容者矯正処遇のための専門研修課程専攻科研修プログラムの企画立案支援・府中刑務所をはじめとする収容施設(横浜刑務所{男子被収容者}・栃木刑務所{女子被収容者})などにおけるF指標向け日本語指導プログラムの実地検証・改善指導担当刑務官のためのワークショップ,および日本語学習教材(オンデマンドE-ラーニング講座なども含む)の開発・松本少年刑務所旭中学校桐分校で行われている義務教育課程(1年コース)に在籍するF指標受刑者に対し,教科教育と並行して行う日本語指導カリキュラム立案・読み書き能力が劣る日本人被収容者に対する識字教育支援プログラムの開発今年度,法務省矯正局成人矯正課と連携し,府中の矯正研修所にて,被収容者処遇国際化対策研修(7月)に携わり,また,F指標受刑者の収容施設である,府中・横浜(共に男子),栃木(女子)刑務所の訪問を行った。さらに,外国人受刑者に対する日本語指導に携わる担当者研修の企画にも関わり,矯正局も,こうした取り組みを次年度から予算化することで,継続的な取り組みとして課題解決する方向で検討している。なお,公益社団法人日本語教育学会の,2015年度春季大会研究(2015年5月30日)にて,谷澤正次(府中刑務所・教育部教育専門官),吉村幸司(国連アジア極東犯罪防止研修所・教官)と共に,「外国人受刑者の矯正処遇の課題:刑事施設に収容されるF指標受刑者への日本語指導の意義」と題するパネルセッション企画が採択された。研究会名F指標(外国人受刑者)研究会研究代表者名宮崎里司研究メンバー宇津木晶(日本語教育研究センター),山下克哉(日本語教育研究科修士課程)設置主旨2014年度活動計画2014年度活動実績

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