早稲田日本語教育実践研究 第3号
62/88

58早稲田日本語教育実践研究 第3号/2015/53―60日本語学習ポートフォリオ研究会山内薫(日本語教育研究センター),黒田史彦(日本語教育研究センター,2014年9月まで研究メンバー)日本語教育研究センター(以下,本センター)では,学習環境整備の一環として,2009年から断続的に日本語学習ポートフォリオの開発に取り組んできた。本研究会は,ポートフォリオに求められる役割を改めて見直し,その運用方法とコンテンツを改善していくことを目標とする。まず,日本語学習ポートフォリオの利用を一層促進するための人的支援の在り方について,研究会メンバーによるポートフォリオを活用した学習相談の実践を通じて,分析,検討を加えていく。同時に,日本語能力の自己分析や学習目標の設定,日本語科目の履修選択を行う際の手掛かりとなり得る能力記述文を策定し,ポートフォリオのコンテンツとして盛り込む。・研究会メンバーによる定期的な研究会,勉強会を開催し,日本語学習ポートフォリオの理念,実践に関する理解を深める。・研究会メンバー自身がポートフォリオを用いた学習相談を継続的に実践し,ポートフォリオに必要とされるコンテンツ,および,ポートフォリオの意味ある運用方法を見い出していく・J-CATと日本語能力試験N1-N5の受験者を調査協力者として募集し,両テストのスコア間における関連付けを行う。・本センターにおける日本語1〜8各レベル(プレイスメントテストのJ-CATスコア基準)と日本語能力試験独自の能力記述文との関連付けを行う。2014年度春学期の本センター設置科目「ポートフォリオを使って日本語学習を考える」に研究会メンバーが毎週参加し,グループワークのファシリテーターを務めた。ポートフォリオを試用しながら,学期/月/週単位で学習を計画・記録・検証した。グループ学生間で学習に関する疑問や悩みについて話し合い,学習方法やリソース,必要なコンテンツ等について意見交換した。ポートフォリオの使い方は学生により様々であり,他の学生の活用方法を知ることで,よい刺激を受けた。仲間や教員(研究会メンバー)が共に話し合う機会を設けることにより,ポートフォリオの利用が促進されるだけではなく,学習に対する意識を高め,自分がどのような学習者なのか理解が進んだ。今後も,グループによるポートフォリオ活用の道を拓くと共に,ポートフォリオのコンテンツ拡充に努めたい。研究会名研究代表者名鈴木寿子(日本語教育研究センター)研究メンバー設置主旨2014年度活動計画2014年度活動実績

元のページ  ../index.html#62

このブックを見る