早稲田日本語教育実践研究 第3号
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2 早稲田日本語教育実践研究 第3号/2015/1―2(ふるや しゅういち,早稲田大学法学学術院)外国語を学ぶとき,人は必ず「夢」を持っている。語学学習そのものが好きという人もいないわけではないが,多くの人は,何かの目的・目標に向かって語学を学び始めるものである。私自身を振り返っても,将来は国際紛争の解決に貢献できるような仕事がしたいという夢をもって,英語の勉強に励んできた。決して楽ではない語学学習の毎日を支えるのは,そうした将来への「希望」「夢」である。そして,語学を教える教員は,こうした学生の夢の実現を支えるサポーターであるとも言える。早稲田大学が掲げる中長期計画「Waseda Vision 150」は,2032年までに海外からの留学生を1万人にすることを目標としている。現時点でも4千人以上いる留学生は,年々増えてゆくことになるだろう。その一人ひとりが,異なる目的,希望,夢を抱いて早稲田にやって来て,日本語を学ぶことになる。日本の社会や文化などを学習するため,高度な日本語を駆使できる能力を身につけたいと希望する学生もいれば,英語の授業を中心とする英語学位プログラムで学びながら,日常の生活や日本人との交流を深めるために日本語の勉強を始める学生もいるだろう。日本語学習の必要性やその優先順位は異なるとしても,いずれも夢や希望を胸いっぱいに抱えた学生たちであることは間違いない。日本語の学習は,彼ら・彼女らにとって「夢」への第一歩であり,日本語教育研究センターの教員・スタッフはそれを支えるという重要な仕事を担われている。更に言えば,留学生の夢を支えるという使命は,「留学生1万人の早稲田」に働くすべての教職員が常に意識すべきことでもあるだろう。ただ単に数のうえで1万人を達成することではなく,1万人一人ひとりの夢の実現に貢献するWASEDAとなること。それができてはじめて,「早稲田で学べて本当に良かった」と評価されることになると信じている。そうした意味で,日本語教育の専門家集団としてセンターで働く方々の知見や経験は,今後全学の教職員が共有すべき財産であるとも言える。それを日々最前線で開発し発展させている日本語教育研究センターの皆さんに最大限の敬意を表するとともに,「夢と希望を支える機関」として,センターの活動がさらに充実・発展することを期待したい。

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