1)次回の授業では,入室時,自分の名前を漢字表記に直したものを板書する。47泉水康子/非漢字系初級クラスにおける「話す」活動の工夫科目名:漢字(非漢字系)レベル:初級1・2/中級3・4・5/上級6・7・8履修者数:12名早稲田日本語教育実践研究 第3号 1.はじめに2014年春学期より,早稲田大学日本語教育研究センターで,漢字コース(週1コマ,全15回)が開講された。筆者は,その非漢字系初級2レベルのクラスを担当したので,当該クラスで実施した「話す」活動の一端について本稿で報告したい。当該クラスは,日本語初級レベルの学習者で,漢字に関する知識が少ない非漢字圏(アメリカ,韓国,タイ,スペイン,ブラジル,その他)からの留学生(以下S)12名により構成されていた。コース案内には,教科書に沿った漢字学習のほかに,日本語による口頭発表として「個人発表」が学期末(第14および第15回目の授業時)に予定されており,学習者が「興味を持った漢字を自分で調べて(日本語で)説明できるようになること」を,コース目標のひとつとしていた。そこで,筆者の担当するクラスでは,当該口頭発表の準備段階として,毎回の授業開始直前に,Sが自分で見つけてきた漢字の熟語を1語板書することを課し,出欠確認に代えた。そして,第11回目の授業では,Sに自分の名前を漢字表記して板書させ,そこに使用した漢字について簡単な発表をする活動を実施し,これを出欠確認に代えた。2.「自分の名前の漢字表記について話す」活動初回の授業より,Sに入室時,任意の漢字の熟語を1語板書させ,授業開始時に,その読みと意味を講師(以下T)がSひとりひとりに確認することで,出欠確認に代えることとした。第10回の授業で,この活動がほぼ定着したので,第11回目の当該活動について,次のとおり概要を説明した。2)Sは,自分の名前に使った漢字を,漢字用語(音読み,訓読み,送り仮名等々)や,発表形式(発表の最後に,「以上です。なにか質問はありませんか?」と聞く等)を用いて,ひとりずつ前で発表する。3)ひとり3分程度の短い発表だが,正確にストップウォッチで時間を計るので,事前に漢字を用意し,発表時間を調整するなど準備して来る。4)発表については,クラスメート全員で評価表を用いて互いに評価する。さらに,今回の活動について,Sに具体的なイメージを持たせるため,次のような余談を交えた。1)Tがかつて担当した日本語初級レベルのクラスで,アメリカ人の男子学生が,トムと【実践紹介】非漢字系初級クラスにおける「話す」活動の工夫泉水 康子
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