早稲田日本語教育実践研究 第3号
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回 〜L.13日本人の学生生活の印象第2回46早稲田日本語教育実践研究 第3号/2015/45―46大テーマ〜L.22日本人の結婚観について〜L.25春休みの旅行3.実践の成果と課題事後アンケートでは,概ね実践の趣旨が果たせたことを示すコメントを得た。見知らぬ日本人に話すのは大変で恥ずかしかったが,日本語で話してみる練習としてよかったという内容である。また,「インタビューの質問とテーマはおもしろかったです」「みんながしんせつです」等,日本理解への第一歩を踏み出してくれた様子もうかがえた。実際,アンケートに協力してくれた日本人学生から,設問の回答だけでなく所属学部や学年を問うてくれる自発的な対話も生まれており,日本語で会話してみる実地体験としてのおもしろさも見られた。(ただ,一方では,アンケートに協力を求めても断られてしまう場合が少なからずあったのも事実である。)さて,この実践をつうじて生まれた課題であるが,まず,前述のとおり,快く回答してくれる相手をどのように求めるかという課題がある。次に,大テーマの設定方法にもまだ大きな要改善点を残した。実は,第1回実践では大テーマを定めていなかったが,その結果,回答がおそらくその時点の日本語学習段階を大きく超えた表現になってしまうだろうテーマを選択してしまった学習者がいた。それで,第2回から教師が大テーマを設定することにしたわけだが,最近学習した課の文型が生きるようなものを想定したはずが,実際は当てが外れるケースが多々あった。例えば第2回実践では形容詞文産出を想定したが,学習者から出た小テーマや設問は,この想定にはまっていなかった。これらの課題を解決する実践案として,例えば「好きな形容詞を3つ挙げてください」と設問を1つに絞って,クリップボードにさっと書いてもらうというような,より簡潔に回答できるアンケートも取り入れてみたらどうだろうか。機会があればぜひ試みてみたい。小テーマ例日本のバスと電車・日本人の趣味・日本の祭りと観光地学生のアルバイト・日本人の高校の生活・学生の毎日の生活(『みんなの日本語初級Ⅰ 初級で読めるトピック25』L.21「結婚!!??」のアンケート設問を使用)(「大学生協オススメホテル得々ホテルプラン全国版」を見て,興味がある地域のホテルに電話し,旅行プランを立てる。)(すぎもと みほ,早稲田大学日本語教育研究センター)表1 「とつげき!おもしろインタビュー」テーマ学習進度第1回L.1〜L.6(大テーマ設定なし)第3回第4回

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