45杉本美穂/突撃!おもしろインタビュー科目名:総合日本語レベル:初級1・2/中級3・4・5/上級6・7・8履修者数:7名杉本 美穂早稲田日本語教育実践研究 第3号 1.実践の趣旨実践の第一の趣旨は,学習者を教室の外へといざない,日本人と話す実地体験を積む機会を与えることである。これによって,学習者は自らの日本語力に対して自信をつけたり,あるいは内省したりする機会が生まれるのではないかと考える。また,二つ目の趣旨として,学習者が抱いている日本・日本人に関する興味・関心事について,自らの見解を深める機会を作ることを期待した。2.実践方法上記のような目的を設け,「とつげき!おもしろインタビュー」と題した本実践を,当該学期中,計4回実施した。これは,学習者が大学構内で日本人学生を対象にアンケート調査を試みる活動である。実践の準備として,教師はあらかじめ,ハンドアウト(大テーマ・小テーマとアンケート設問の例・アンケート調査時の台詞モデル・まとめレポートの構成モデルを示したもの)を用意しておく。大テーマは,主教材である『みんなの日本語Ⅰ』の学習進度に合わせて,最近学習した課の文型が小テーマとアンケート設問に生かされるようなものを想定し,まとめレポートの構成モデルも同様に,学習進度に合わせて各回の表現を変えた。このハンドアウトを使い,まず,教室で全体ディスカッションをしてそれぞれの小テーマ案とアンケート設問案(4つ程度)を詰めていく。それから各自作業を経て,最後にグループワークでコメントを出し合い,小テーマとアンケート設問を完成させる。完成したら全員で教室を出て,大学構内で調査に応じてくれそうな日本人学生を探してアンケートを取る。その際,教師は,話しかけるのに躊躇する学習者を促したり,不信感を表す日本人学生には日本語授業の教室活動の一環であることを保証したりした。また,応答に窮する場合は,サポートに入った。調査結果はレポート(A4版太罫レポート用紙に半枚程度)にまとめて,翌週提出することとした。この活動は,「まとめテスト」が終わった後に設けられていた「クラスの時間」を利用し,小テーマ・設問作りからアンケート調査までを40〜50分で行った。以下表1に,各回の大テーマ・学習者が案出した小テーマ例・実践時の学習進度を示す。【実践紹介】突撃!おもしろインタビュー―教室を飛び出し日本人と話す―
元のページ ../index.html#49