早稲田日本語教育実践研究 第3号
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3章 華恵12345678935川上郁雄/複言語で育つ大学生のことばとアイデンティティを考える授業実践表1 コース概要授業回ガイダンス講義「移動する子ども」とは1章 セイン カミュ2章 一青妙4章 白倉キッサダー5章 響兄弟6章 コウケンテツ調査をどう進めるか107章 フィフィ118章 長谷川アーリアジャスール12ゲスト・インタビュー139章 NAM14終章/講義「ライフストーリーを聞く・書く」15振り返り:ライフストーリーを書き終えて授業内容ステージとねらい第1ステージライフストーリーを読む第2ステージライフストーリーから考える第3ステージライフストーリー調査の準備第4ステージライフストーリー調査の実施たことを書いてください。」という指示を示し,問1に「一番印象に残ったこと,あるいは考えさせられたことは,何ですか。」,問2に「よくわからなかったこと,疑問に思ったこと,クラスで議論をしたいことはありますか。」と続く。つまり,受講生が自分の感想や疑問をまず出す,という作業である。授業では,テキストの該当の章を事前に自宅で読んでくることを指示している。その場合,ただ漠然とテキストを読むのではなく,「1.語りの中で,わかりにくいこと,疑問に思ったことを書き出す。」「 2.語り手のことばについての意識とその変化を考える。」「 3.ことばとその人の行動,生き方の理由を考える。」という指示をし,かつ,コメントシートのフッターにこの3点を書き,毎回,それらが目に入るようにしている。しかし,受講生の中には事前に当該の章をまだ読み切っていない人もいる。そのため,コメントシートを配布した後,15分程度,一人ひとりがテキストの該当の章を読み返しながら,上記の問1,問2を書く時間とする。この授業では受講生同士が協働的に学び合うことをねらいとしている。そのため,次に,上記の問1,問2について,隣や前,後ろの席の受講生,2〜3人と意見交流をするように指示する。この時間は,10分から15分程度とる。この時間が,この授業では重要な時間である。それまで黙ってテキストを読み,感想や疑問をコメントシートに書くという静かな個人作業からクラスメイトと自由に語り合う活発な時間へ移行するのだ。教師は机間巡視をし,各グループでどのようなことが話題となっているかを聞く。その後,グループ・ディスカッションを止め,クラス・ディスカッションに切り替える。クラス全体に向けて,各グループでどのような点が話し合われたのか,どんな意見が出たのかを尋ねる。教師は,受講生から出る意見や疑問を黒板にキーワード程度を書き,可視化するが,受講

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