の59には,「〜の整理」という形で初級の文法項目の復習が14(「自動詞・他動詞」,「比30早稲田日本語教育実践研究 第3号/2015/25―323―4.クイズ作成教科書変更に当たり,クイズやテストのあり方についても見直しを行った。コースにおいてどのような試験類を実施するかは,学習者にどのような学習を求めるか,ということにも深く関係している。2014年度の総合日本語3では,クイズは各課の最初に「語句クイズ」を実施し,また二つの課が終わった後に「語句・文法クイズ」を実施することとした。「語句クイズ」は各課の予習を,語句・文法クイズは各課の復習を念頭において設定された。総合日本語においてはクイズやテスト類の実施を授業出席の動機づけとする場合もあるが,2014年度の総合日本語3についてはそのような目的は設定せず,単純に予習と復習の学習効果のみに焦点を絞った。また日々のクイズのほか,中間テストと期末テストも実施した。これは,成績評価の一環とするだけでなく,学習者に予習および復習を促すことも大きな目的としている。それにより,語句・表現や文型をしっかりと定着させ,中級へスムーズにつなぐことを目指した。4―1.総合日本語2とのつながり授業で用いた教科書『中級へ行こう』は,59の文型と表現を扱っている。ただし,こ較」,「と・ば・たら・なら」,「受身」など)含まれており,中級の基礎となる文法項目を整理しながらあらたな文型や表現を学ぶことができるものであった。実際のところ,総合日本語3のクラスといっても,学習者によって初級段階の学習にかけた時間や履修時点での習得度はさまざまであり,いざ復習してみると基本的な活用形などが定着していない学習者も少なくなかった。そのため,このような初級の復習を丁寧に行いながら進めることができたのは,総合日本語2とのつながりをスムーズにするのに有効であったと考える。教科書本文については,当然未習の文型や表現も含まれてはいたが,長さがそれほど長くはなく,各文型と表現を学習した後に,再度本文の精読を行っていたため,内容がわからないままに過ぎていくということは避けられていたのだと推測される。このように,教科書の内容については,初級修了からのつながりを重視して選定したこともあって,総合日本語3の受講者の大半を占める初級修了レベルの学習者にとっては,無理なく学習を進めることができたと考える。4―2.総合日本語4とのつながり2014年春学期の授業を実施し,まず,「調査・レポート活動」では学習者が自身でテーマを決めて意見をまとめ,調査および考察を行うという過程において,それぞれが掘り下げて考えを深めることができた。一方,教科書を中心とした文型・表現や読解の学習内容の面においては,学習者および授業担当者から,改定以前の総合日本語3に比べて内容が易しくなった印象があるという声が聞かれた。これは,教科書選定の際に意図したことであったため出るべくして出た反応である。しかし,総合日本語3の中でも伸びしろのある4.2014年度春学期の実践を経て見えてきたこと
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