注 2) http://www.waseda.jp/cjl/dat/overview/02_gaiyou.pdf23田川恭識・渡部みなほ・野口芙美・小西玲子・神山由紀子/総合日本語クラスで日常的に音声指導を行うための教材開発に向けてと音との一致に重点を置き,その次の段階で,特殊拍やリズムの指導に重点を移す,という方向性が考えられる。教材のねらいや目的については,開発した教材に簡潔かつ具体的に明記され,音声を専門としない教師にとっても取り掛かりやすいものにする必要がある。また総合クラスの指導のねらいともリンクしていると更に望ましい。例えば,動詞の活用を扱う課では,形と共にアクセントの変化や音変化の規則について気づかせることが音声指導のねらいとなりえる。最後に指導方法の共通理解・共有だが,総合クラスの限られた時間の中でどんな教師でも実践可能で,効率的かつ効果的な指導,練習方法を模索していく必要がある。近年,自己モニターを活用した音声指導の方法(河野2014,他)など,様々な提案が行われているが,これらの方法論を踏まえた上で,総合クラスに即した指導,練習方法を検討して行きたい。特に我々が指導の念頭に置いている「意識化」については,その定義を再考し確立した上で,多くの教師への共通理解を図っていきたい。本研究では,教師2名のみの実践からの考察であったが,総合クラスには様々な背景を持った数多くの教師がおり,更に多くの教師の実践及び音声指導の捉え方を見ていく必要もあるだろう。また,本研究の結果に基づいて行った提案をさらに具現化し,実践していくことも今後の課題である。1) いわゆる「発音」のクラスなど。3) 本研究では,フレーズとは複数の語がひとまとまりで発音されるもの,とした。参考文献阿部新・須藤潤・嵐洋子(2014)「日本語教育における音声教育について日本語教師が考えていること-音声教育の目標・具体的内容・困難点・改善希望の分析から-」『2014年度日本語教育学会春季大会予稿集』229-234.嵐洋子・中川千恵子・田川恭識(2012)「日本語音声教育方法再構築のために-「みんなの音声教育」プロジェクトについて-」『日本語教育方法研究会誌』vol.19(2),34-35.磯村一弘(2009)『国際交流基金日本語教授法シリーズ第2巻音声を教える』ひつじ書房.河野俊之(2014)『日本語教師のためのTIPS77③音声教育の実践』くろしお出版.助川泰彦(1993)「母語別に見た発音の傾向−アンケート調査の結果から−」『日本語音声と日本語教育
元のページ ../index.html#27