B:作文を(中略)例えば初級段階で完璧な文に直すかどうかっていうのを考えたと20早稲田日本語教育実践研究 第3号/2015/9―24から,指導はしないで「意識化」っていうのを変なところで染み付いちゃったところがあって,自分の中で消化不良だったことがあって。(中略)(時間がない時に)すごく間違ってるっていう時に,でも指導するんじゃなくて気づきだっていうし。I:(指導したかったんだけど,しちゃダメって思って,しなかったんですか。)B:どこまで指導っていうか,つっこんだらいいのかわからなかったんです。例えば,言い直させたり,っていうやりとりがあったとして(中略)そういう時に判断ができなかったんですよね。そのような中での学習者の反応について,以下のように話している。B:私の不安っていうか,消化不良具合が伝わっているかなっていうのがちょっとあったっていうか。最初のころは,学生もいいのかな,よくないのかなっていう雰囲気が。楽しんでる,っていう感じはあまりなかったってのはありましたね。(中略)たぶん本当に私のやり方次第だったんだと思うんですけど。どうしたらこのシートを楽しくやれるんだろうって,思ってた感じですね。教師B は自分自身の迷いや不安が原因で,思ったような活動にならなかったと感じている。また「楽しい」という言葉から,Bが思い描いていたのは「楽しく音声指導を行うこと」であったことが窺える。Bは自身の授業で注意している点について,下のように述べている。B:活動をたくさん入れたいなっていう…感じですかね。(中略)やりとりだとか,絵を見ながらとか…(中略)あとはゲームみたいなもの。アウトプットとしては話すということが多いんですけど,ゲームみたいなものですね。活動っていうと範囲が広いんですけど。(理想とする教師とは?)授業やることによって楽しいとか,日本語をもっとやりたいとか思ってくれるといいなと。表情が陰ってしまうのを見ると,ごめんね,って思っちゃうところがあるんですよね。ゲームなどの活動を多く取り入れ,学生が楽しいと思える授業を理想としている。指導中「楽しく音声指導をする方法」について常に考えていたが,自身の指導に対する不安や「何をどこまで指導すれば(意識化させれば)いいのか」が不明瞭だったため,思うような指導ができなかったと感じているようである。今後の音声指導のあり方についても, 以下のように述べている。きに,この表現を使った方がいいとか,作文だと,例えばなんとなく自分の基準があるんですよ。でも,音声だとないんですよね。この時点でここまで理解できてればいいとか,ここまでだったら次につなげられるとか,そういう基準がないので,
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