早稲田日本語教育実践研究 第3号
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12早稲田日本語教育実践研究 第3号/2015/9―24図1 アクセントとイントネーションの表記(例)4.「ことばシート」に関するアンケート調査アクセントの例:イントネーションの例:おんせいをべんきょうしますおんせい作成した教材は,総合日本語1・2の教材置き場にファイル化して配置し,教師が自由に使用できるようにした。さらにファイルには上の1)から4)の内容を簡単に記述した「使い方の手引き」をつけた。なお次節以降でも触れるが,2012年秋学期開始前には「ことばシート」の使い方説明会を計3回開催し,当該教材の周知に努めた。4―1.アンケート概要筆者らによって開発された「ことばシート」は,自由に使用可能な教材として教材置き場に配置されたが,使用は任意であるため,すべての教師が使用したわけではない。今後,総合クラスに適した音声指導用教材や音声指導について検討していくためには,当該教材の有用性や問題点はもちろんのこと,担当教師による教材の使用状況,使用しなかった場合はその要因を把握することが必要となる。以上の目的のもと,2012年度春学期と秋学期のコース終了前に,総合日本語1・2の教師と学習者を対象として,当該教材に対するアンケート調査を実施した。調査では2012年度にCJLに所属していた研究グループメンバーのうち第1,第2,第5著者がアンケートの配布・回収をし,回答の集計を行った。質問紙により総合日本語1・2全教員と,開発メンバーが担当しているクラスの学習者を対象に行った。総合日本語1・2の担当教員はそれぞれ50名程度であったが,その中で回答が得られたのは,2012年度春学期で24名,秋学期は9名であった。また学習者は,春学期,秋学期ともに25名であった。学習者向けアンケートでは,日本語の概算学習時間,音声についての学習経験の有無といった背景情報,教材の有用性についての段階評価などを尋ねた。アンケートは日本語と英語で表記され,回答はどちらでも可とした。一方,教師向けのアンケートでは,教授経験などの背景情報,「ことばシート」を使用したかどうか,「ことばシート」に対する段階評価(春学期),音声教育についての教育観などについて尋ねた。以下,4―2節で学習者の段階評価の結果とコメントを示し,4―3節で教師による段階評価の結果とコメントを示す。4―2.学習者のアンケート結果と考察調査協力を得られた学習者の出身地域は,中国・韓国・台湾・インドネシア・ベルギー・カナダ・アメリカ・スペイン・チュニジア・カンボジアと10カ国に渡る。中でも最も多いのが中国であり,それに韓国,台湾が続いている。また,当該クラスを受講する前の日本語の学習時間は,0ヶ月から36ヶ月であった。なお,これまでの日本語学習の中で音声指導を受けた経験のある学習者は全体の半分程度であった。以上を踏まえ,「こ

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