早稲田日本語教育実践研究 第2号
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早稲田日本語教育実践研究 第2号/2014/65―79表1 映像教材の会話の対象者録画した会話は,ザトラウスキー(1993)に準拠して文字化した。スピーチレベルを相手に与える印象と関連づけて調査した前出の田所(2012)では,8つの接触場面初対面会話のうち,相手に悪印象や違和感を与えた会話は,与えなかった会話と比べ,母語話者の丁寧体発話が有意に少なく,普通体発話が有意に多くなっている。そこで,本研究では,録画した14の接触場面初対面会話の中から,母語話者に普通体発話の見られる2会話を扱うこととした。そして,その2会話から,語彙の難易度や内容のプライバシーなどを考慮し,それぞれ約1分半の部分を映像教材として切り取った。「混合体」(福島2007)の存在により,スピーチレベルは1発話ごとに詳細に分析する必要がある3)。1時間半の授業内で,二会話を一発話ごとに詳細に扱い,話し合いの時間も十分に確保するためには,各会話約1分半の箇所が映像教材として最大限の分量であると判断した。2会話の対象者の詳細は以下の表1の通りである。4―2.ワークシートの作成初対面会話を録画後,会話者一人ずつに再生刺激法(stimulated recall,Bloom 1954)によるフォローアップ・インタビューを行い,会話時に自分と相手のスピーチレベルについて感じていたこと,考えていたことを聞き出した。それを文字化した「会話者意識」及び録画した会話の文字化資料をもとに,ワークシートを作成した。4―3.授業実践の概要授業実践は,対象者を変えて1時間半ずつ2回に分けて行った。対象者の詳細は,表2の通りである。68

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