早稲田日本語教育実践研究 第2号
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(2013年3月1日)早稲田日本語教育実践研究 第2号/2014/45―64Course N@viを活用した「日本語かきこ」の実践―」『早稲田日本語教育実践研究』in Hawaii 2007 Proceedings. 第4回「日本語教育とコンピュータ」国際会議(2013年3月1日)(さいとう さとみ,早稲田大学日本語教育研究センター)(わたべ みなほ,早稲田大学日本語教育研究センター)(たどころ なおこ,早稲田大学日本語教育研究センター)(かわな きょうこ,早稲田大学日本語教育研究センター)(たなか あつこ,早稲田大学日本語教育研究センター)にとって気軽に扱えるインターネットと教室をブレンドさせた活動は,今後さらなる展開が期待されるだろう。また,教師側が予想していなかった「日本語かきこ」の特長も見えてきた。それは,学習者は教師の意図とは別の視点からも自らの学習を捉え,自分なりにこの活動を活用していたということである。教師が教室でのディスカッションを内容が深まるように話し合うための場として設計していたとしても,ある学習者にとっては仲間を知るためのコミュニケーションの場であり,ある学習者にとっては習った文法を実文脈の中で確認をしながら試してみる場として捉えられていた。クラス単位の活動では,教師が設計した授業の中で,学習者は能動的に自身の問題を発見し,解決していくことが必要である。その点,「日本語かきこ」は,自らの学びに必要としていることにも重点を置くことができ,そのような学習者の主体的な学びを促す活動デザインであったと言ってもよいだろう。換言すれば,アンケート結果の高評価は,「日本語かきこ」そのものの活動土壌の広さを学習者が実感した結果だと言える。オンラインと教室をブレンドさせたことによる相乗的な効果を持ち,学習者が自らの学びのスタイルを反映出来る「日本語かきこ」は,日本語教育における総合的言語活動としての新たな可能性を考える上で,その出発点のひとつとなるものではないだろうか。参考文献大塚薫(2007)「SNSを利用した日本語作文授業の試み―対面教育及び遠隔教育を統合した授業―」『高知大学総合教育センター修学・留学習者支援部門紀要』2,58-72川名恭子・小西玲子・齋藤智美・坂田麗子・佐藤貴仁・田所直子・田中敦子・水上弘子・宮武かおり・渡部みなほ(2012)「初級日本語クラスにおける教師間シナジー―刊行記念号,139-152北出慶子(2007)「BBSの効果的な活用法の探求―オフラインの協働作業―」CASTEL-J 齋藤智美・古賀裕基(2012)「文脈が積み上がる教室環境デザイン―オンラインと教室で相互作用する「日本語かきこ」―」『2012年WEB版日本語教育実践研究フォーラム報告』渡部みなほ・田所直子(2013)「オンラインと教室を結ぶ『日本語かきこ』の実践と活用―初級前半クラスにおける異なるタイプの実践を通して―」『日本語教育方法研究会誌』20-1,52-5364

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