〜10分で,ほかの書き込みもよく読んでいたが,「(教師は)学習者に家で勉強させるよ2つ目は,開始前には「楽しそう」というポジティブな印象を持っていたが,終了後にて参加し,実際にやってみて「簡単だった」とも回答している。自身の書き込み時間は0うにすべき」「リマインドのために学習者にメールを送るべき」というコメントからも,クラスメートの消極的ともとれる参加態度に不満を抱いていた様子が読み取れる。自身の積極性と活動への評価の高さを考えると,周りの取り組み方に物足りなさを感じていたと思われ,前者2名と対比した場合,評価が同じでもその理由は対極にあることがわかる。は「つまらなかった」とネガティブな感想に変わったタイプである。該当者は3名で,そのうちの1名は,活動全体についての印象の項目では否定的な回答はしていないが,「FBの時間が長すぎた」とコメントしている。その他の2名は,開始前にポジティブな印象を持ちながらも終了後にはネガティブな感想に変わったが,同時に学習面では「いい練習になった」とプラスに捉えている。1名は週1回の活動では少ないと感じており,FBでのやりとりを非常に高く評価しているが,トピックの選択に不満を持っており,「トピックについてもっと考慮した方がいい」とコメントしている。もう1名は教師による誤用訂正を高く評価しており,日本語入力ができるようになったことも評価している。また,自身の学習に関しても「言葉や表現が増えた」「習った文法が使えるようになった」「書くのに慣れた」など高評価をしている一方で,クラスメートとの関係性に言及した設問への回答は自己評価が低く,このような協働的な学習スタイルに慣れずにいた可能性がある。以上,タイプ別に簡単に述べたが,在籍したクラスがどのような構成メンバーであったか,教師がどのような目的を持って実践していたか,どの程度そのクラスで活動が活性化していたか等によって状況は異なり,類型化することは難しい。ただ,書き込みを他者と共有するという活動形態がうまく機能しなかった場合,学習意欲や積極性の低下につながる可能性があると言えよう。5―3 活動の問題点学習者から概ね肯定的な評価を得た「日本語かきこ」であるが,いまだ改善の余地は大きい。本活動の問題点について,活動の具体的な実践方法と活動の枠組みという二つの側面から見ていく。まず,実践方法について多くの学習者が指摘していたのは,トピックの設定,実施回数,めてほしい,クラスで話し合って決めたい,等である。実施回数に関しては,1週間に2回以上行いたい,2週間に1回でいい,等である。FB方法に関しては,時間が長すぎる,または短すぎる,そのほかに,もっと誤用訂正をしてほしい,等である。この3つに関しては1章にあるように,実践方法は各クラスの教師の裁量に任されており,それぞれがクラスの状況に合わせて行っていたため一律ではない。つまり,これが正解という実践方法は存在しないため,教師の教育観によって活動内容は多種多様なものとなり,活動の幅はいくらでも広がる可能性があるのである。上記3点に関しては,教師が明確な目的意識を持ち,個々の学習者とクラス全体の反応を観察しながらそれに応じた方法を適宜調整していく柔軟性があれば改善し得ると考えられる。最後のアクセス方法に関しては,Course 早稲田日本語教育実践研究 第2号/2014/45―64FB方法,アクセス方法である。トピックの設定に関しては,自由に決めたい,教師に決62
元のページ ../index.html#66