早稲田日本語教育実践研究 第2号
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2.学習者が自分の書き込みを音読する。【表記・読み方の確認】早稲田日本語教育実践研究 第2号/2014/45―64<FBの流れ例:活動時間30分>FBではスクリーンを見ながら共有する以外にも,書き込み部分をそのまま印刷したり,ある。自由にトピックを選ぶクラスでは,「把瑠都」「宮崎アニメ」「私の車」など個人的な興味によるトピックでの書き込みがあり,内容は文章も長く,写真が添付されているなど学習者の強い思い入れが感じられた。ほかに,つまらない,忙しいなど,現在の心境や状況を訴える書き込みや,クラスメートや教師に向けて食事会を企画しようと声をかける書き込みなど,一般的なSNS利用に見られるような展開もいくつかのクラスで確認された。これらの書き込みに対し,教師は各クラスの状況に応じて,話題共有のために自分も書き込む,書き込みには必ず返信する,間違いがあった場合は返信の中で暗示的に指摘するなど,活動が活発に行われるよう工夫していた。3―4 フィードバック書き込みに対するFBは書き込み期間の翌週行われ,その方法と目的は教師によって様々なものとなった。基本的に「総合日本語1」のスケジュールにおける「日本語かきこ」の活動時間は30分程度とされていたが,学習項目の分量やクラスによっては15〜45分と大幅に異なっていた。ここでは最も多く見られたFBの流れを示し,項目別にほかの事例について詳しく述べる。1.プロジェクターを使用し,スクリーンにクラスの書き込み画面を映す。【共有方法】3.書き込みに誤用があった場合,教師が指摘し,訂正する。【誤用訂正】4.その内容について教師及びクラスメートが口頭で質問し,学習者が答える。【内容の確認】5.次の学習者の書き込みに移る。書き込みを加工してFBシートを作成したりするなど紙媒体の資料を配付する方法も見られた。FBシートを作成した目的は,誤用箇所の訂正やメモを自由に書き入れるためであったり,クラスメートの書き込みを読んできたかどうかを確認するためであったりとクラスによって異なり,形式も様々であった。また,音読するときはスクリーンを使い,内容を確認するときはFBシートを配付するなど,クラス全員でFBに集中できるようにしたクラスもあった。表記・読み方の確認は,書き込んだ学習者が音読するだけでなく,他者であるクラスメートに音読させる方法もあった。それによって書いた本人が拗音や長音など仮名の表記や,漢字の読み方の正誤を客観的に確認できる一方で,読む側にもクラスメートの書き込みなので丁寧に読もうとする姿勢が見られた。誤用訂正は,音読中に教師が明示的に指摘する方法のほかに,学習者自身やクラスメートの気づきを促し,指摘・訂正する方法も見られた。FBシートを使用したクラスでは,あらかじめ誤用箇所に下線や蛍光色を付すことで明示していた。どの程度訂正するかに関しては,全ての誤用を取り上げるのではなく,既習か否か,使用頻度が高いか否かで教師50

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