早稲田日本語教育実践研究 第2号
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4つのタイプがあった。教師がトピックを選んだクラスはいくつかあったが,学習者では齋藤智美・渡部みなほ・田所直子・川名恭子・田中敦子/総合的言語活動としての「日本語かきこ」3―3 トピック書き込みのトピックについて,各クラスでの選び方とその実践例を見ていく。トピックの選び方は,教師が選んだクラス,教師と学習者が話し合って選んだクラス,数名の学習者が順番に担当して選んだクラス,特に統一せず個々人が書きたいものを選んだクラスのなく教師が選んだ理由は様々であった。モデルを提示するため,学習者に任せるとなかなか決まらないため,教師からの質問に学習者が答えていくという流れを作ったためなどである。また,書くことが苦手な学習者への配慮から,授業で学習した文型を使用すれば何かしら表現できるようなトピックを教師が敢えて選んだクラスもあった。学習者が主体的にトピックを選んだクラスでは,書きたいものを自由に選べたことで,書き込みが活発に行われたというメリットがある反面,場合によっては同じようなトピックが続くなど偏りが見られ,クラス全員にとって書きやすいものとはなりにくかったというデメリットも確認された。トピックを統一しないクラスでは,各々が好きなトピックで書き込んでいたので,書くことが得意であったり,伝えたいことがあったりする学習者は積極的に書き込んでいたが,なかなかトピックを思いつかない学習者は苦労していたようである。教師と学習者が話し合って選んだクラスでは,学習者がトピックを選んだクラスで起きたような問題は見られなかった。最も多かったトピックは「週末の出来事」であり,「趣味」「旅行」「冬休みの計画」などが続く。これはトピックを教師が選んだクラスも,学習者が選んだクラスも同様であった。「好きな○○」は多くのクラスで取り上げられ,書きやすいトピックであったようで【図3】書き込み画面の例49

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