早稲田日本語教育実践研究 第2号
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大野髙裕/グローバル化推進エンジンとしての日本語教育研究センター教務部長 大野髙裕巻頭エッセイ早稲田大学では,中長期計画である「Waseda Vision 150」において,グローバルリーダーの育成を教育の最大眼目として掲げているが,これは1882年創設当初からの大隈重信の考え方を原点としている。大隈は欧米列強の支配下にあったアジア各地域の独立を指導する若者を進んで受け入れ,1905年には清国留学生部を立ち上げて,組織的な留学生教育に取り組み,アジアの発展の礎を築く若者たちを育ててきた。そのDNAが脈々と受け継がれ,現在では約4,500名の留学生が早稲田大学に学び,世界の人々を幸せにするためのグローバルリーダーへの道を歩んでいる。日本語教育研究センターはこうした留学生が本学における学部・大学院の日本語による授業を滞りなく受けることができるように尽力してきた。また一方で,別科日本語専修課程を中心に日本語学修を主眼とする留学生にも門戸を開き,数多くの有為な若者の日本理解に努めてきた。特に大学院においては1998年アジア太平洋研究科開設,あるいは学部においては2004年国際教養学部開設以降,英語による学位課程の設置箇所が学部・大学院の過半数を超える状況の中で,日本語教育研究センターは「入口は英語で,出口は日本語で」という本学の留学生政策を実現する大きなミッションを担っている。本センターでの日本語教育内容は「早稲田メソッド」の確立を標榜し,早稲田ならではのオリジナルで効果的な教育内容・方法を駆使しており,現在,世界一の教育水準を維持していると評価している。「総合日本語」科目では標準化された質の高い教育内容が提供され,また「テーマ科目」では講師の先生方の専門領域のコンテンツを話題とする学問的かつ実践的な日本語学習が可能となっている。また,8段階のレベル分けはプレイスメントテストで的確に行われ,短期間で高い日本語学習成果が得られる教育システムとして準備されている。さらには「わせだ日本語サポート」によって受講者一人ひとりが学習を主体的に組立て,教員からの適切かつタイムリーなアドバイスを受けることを可能にしている。このように,日本語教育研究センターは世界一の名にふさわしい教育システムを有しているが,これを支える専任および非常勤の先生方の優れた能力と高いモチベーションが最1グローバル化推進エンジンとしての日本語教育研究センター

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