“Nihongo Kakiko”as a Comprehensive Language Activity:Evaluation of Learners through Questionnaires1.はじめに齋藤智美・渡部みなほ・田所直子・川名恭子・田中敦子/総合的言語活動としての「日本語かきこ」「日本語かきこ」はオンラインでの書き込みと教室でのフィードバックとを組み合わせた活動である。初級前半レベルの文型積み上げ式シラバスのクラスにおいて,授業の一環として行われている。2011年度秋学期終了時に,109名の学習者を対象に,本活動についての振り返りアンケート調査を行った。その結果,概ね肯定的な評価が得られ,4技能の向上だけでなく,クラスで共有することによる協働的な学び,コミュニケーションの活性化が実感されていること,この活動に主体的に取り組んでいることがわかった。「日本語かきこ」は,オンラインで書き込み,それを読み,ディスカッションする過程で,学習者が文型・語彙・表現などを学ぶことができ,さらに,他者とのやりとりを通して自らの言葉の学習を振り返ることができる活動だと言える。このような評価は,日本語教育における総合的言語活動としての新たな可能性について示唆を与えるものである。キーワード:オンライン,教室,コミュニケーション,初級,協働的学び要旨45齋藤智美・渡部みなほ・田所直子・川名恭子・田中敦子論 文「日本語かきこ」は,早稲田大学日本語教育研究センターの初級前半レベルである「総合日本語1」において,2011年度春学期より授業の一環として実施されている活動である。この活動は,授業支援ポータルサイトCourse N@viの電子掲示板(BBS)に学習者が日本語で書き込みを行い,その内容についてクラス内でフィードバック(以下,FB)をするものである。教室内外で習得した日本語を使って書いたり,読んだりすることを通じ,自己表現およびコミュニケーションができることを学習者に実感させ,日本語を使うことへの自信を持たせたいというねらいがある。基本的な枠組みはコース全体で統一されているものの,各クラスにおける具体的実践方法は担当教師に任されていること,また本学においては初めての活動であることから,担当教師は実践にあたって,お互いに情報交換しながらクラスでの活動に工夫を凝らしていた。この2011年度春学期における教師間の連携については,川名他(2012)で詳しく報告されている。続く同年度秋学期には,さらに教師間で連携を深めながら,進め方やFBの方法について検討を重ねた上で活動を行い,学期終了時に学習者に対して活動についての振り返りアンケートを実施した。学習者が本活動をどのように捉え,評価していたのかを知ることがアンケートの目的である。本稿では,その回答の分析結果をもとに,教師間の連携によっ総合的言語活動としての「日本語かきこ」―振り返りアンケート調査からみる学習者の評価―
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