早稲田日本語教育実践研究 第2号
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C男D男早稲田日本語教育実践研究 第2号/2014/25―44学生名性別年齢A女32B男212119E男21F女19G男28H女19国籍所属メキシコ別科生中国別科生アメリカ別科生中国学部生アメリカ別科生中国学部生中国研究生アメリカ別科生人化作文」1本ごとに両者の該当番号を割り当て,次章に示した。目的②については,前述したESDQの項目が,「個人化作文」の内容に,どのぐらい現れているか分析することで,領域を測定できると考え,①②の分析は筆者2名が各々行い,一致した分析は採用し,一致しなかったものに関しては話し合って決定した。なお,「個人化作文」のテーマ等の詳細は「表3」のとおりである。ESDQの項目分類表を割り当て,次章に示した。目的の提唱する教授法に従い,「文脈化」「個人化」の授業を行った。調査対象者は,本学の学部生,別科生,研究生の8名である(「表2」参照)。このクラスは,1学期間15週間で,週あたり90分×5コマを使い,主教材『みんなの日本語Ⅱ本冊』を終わらせるコースである。川口(2011:34)を参考にして,構成されたこのクラスの授業内容の流れは,だいたい以下のようになっている。①「出席ゲーム」と名づけたウォーミング・アップ活動②学習項目の「文脈化」導入③学習項目の練習(一部は「個人化」)④「個人化作文」の作成活動⑤テスト/クイズ実施・回収および前回のテスト・宿題などのフィードバック⑥テスト/クイズの「チャンピオンのスピーチ5)」⑦宿題などの課題や教務的通知の配布今回研究対象とするものは,④「個人化作文」である。このクラスでは,毎回授業の最後に,教室活動のひとつとして文章作成活動を行った。この作文は,学習者の思想・感情・経験が自然と表現されることを目的として書かせるため,なんらかの自己開示が実現している可能性があると考え,研究対象に選んだ。文型は,概ねその日学習したものを使用させ,教師側からテーマを与え,教師は学生に対して,「個人化質問」しながら,ブレイン・ストーミングを行い,その後,学生同士ペアで会話させ,書かせる活動に入った。書いている時間は15分〜20分程度である。学生が作文を書いている間,教師は机間巡回しながら,学生の作文にアドバイスを与える。収集した作文は22本である。作文は,書き終えたあと学生同士でピア・レスポンス6)を行わせ,教師が回収し,添削後に返却するといった手法を使った。川口(2012b)では,朗読させたり,板書させたりして発表することを提唱しているが,授業内で十分な時間が取れなかったことや,学生の作文を書くスピードに差があることから,ピア・レスポンスでお互いに作文を読み合い,アドバイスを与え合うという手法を使った。また,授業開始から約2か月後,更に約1か月後,授業終了時の合計3回,学生一人一人に作文についてのインタビューを行った。また,授業の様子を観察し,記録を取った。最後の授業終了時にアンケートを行い授業内容に関する評価をしてもらった。分析は,目的①についてはA&T(1973)の見解により特定できる「深さ」や松島(2004)の「内面的自己開示」が見られれば,「深い自己開示」が行われたと判断できると考え,「個表2 学生プロフィール30

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