7468213(5)社会的に望ましくない側面の開示ほど深い項目No内容自分がとても悲しい思いをしたこと自分の心を他の人から傷つけられたこと内面的自己開示自分が悩んでいること自分がとても嫌な思いをしたこと自分のかなえたい夢自分の将来のこと自分が成功したこと多賀三江子・林 麗/「個人化作文」における自己開示の分析命名内面的自己開示内面的自己開示内面的自己開示表面的自己開示表面的自己開示表面的自己開示D&C(1983:104)は図1に示している。図1から分かるように,D&C(1983:104)は,A&T(1973)で述べられた「深い自己開示」や,松島(2004)のような「内面的自己開示」ストとクライエントの間の打ち解けた関係)の形成が欠くことのできない条件であることに同意する」(D&C 1983:156)と述べ,また「クライエントは暖かく(中略)支持的で,しかも親切なセラピストを前にして,彼らは非難を受ける心配なしに感情を表現できるのだとわかる。このようにしてセラピーの中では,脅威を感じることなしに,自分の思うことを表現できるのである」(D&C1983:161)とラポールの必要性を述べている。次に,自己開示の詳細について述べる。Altman & Haythorn(1965:413)は,「自己開示には開示された内容の『深さ』と『広がり』いう二つの次元がある」とし,その関係を親密になればなるほど,自己開示の幅は広がり,また,深い話題について自己開示するようになると述べている。では,「深さ」と「広がり」について,以下に詳細に述べる。まず,「深さ」については,Altman & Taylor(以下,「A&T」)(1973:17-19)の見解を榎本(1997:3)が以下のように整理している。(1)特定の状況下の個々の行動の開示より,性格特性のようなより普遍的な傾向の開示のほうが深い(2)独自3)な内容の開示ほど深い(3)行動や実際の出来事よりも,動機・感情・空想のような目に見えない側面の開示ほど深い(4)自分の弱点にふれる内容の開示ほど深い(6)強い感情を伴う開示ほど深い松島(2004:29-30)も,自己開示には,自己の比較的深い側面と,表層的な側面のものがあることを指摘している。例えば「悲しい思い」,「自分が他の人から傷つけられたこと」など,個人の内奥にある経験や感情など,特に自分が過去に体験した内面的な経験については,「内面的自己開示」と命名し,「かなえたい夢」「将来のこと」など,比較的自己の表層的な側面に関する内容は「表面的自己開示」と命名した(「表1」参照)。したがって,が「個人化作文」に見られれば,学習者に「深い自己開示」が行われたと判断できる。次に「広がり」について述べる。これについては,榎本(1997:13-15)に紹介されている「自己開示を測定する質問紙」(Enomoto Self-Disclosure Questionnaire:以下,「ESDQ」)が自己開示を行うさまざまな側面にどのような「広がり」,すなわち多様性があるかを示している。ESDQは「自己の内面をさらけ出すというにふさわしい,比較的深い自己開示内容に絞って,日常的な場面でどの程度自己開示しているかを測定」(深田2003:86)できるように開発されている。ESDQに,自己開示の表1 松島(2004:30)自己開示尺度を一部修正27
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