1学部2学部3学部4専修5交換●4コード知らない知識の獲得授業:情報量の確保,外で勉強できないこと授業:基本を習う,友達・銀行:使う,もっと日本語を増やす授業で知識を得る,日常会話:利用教室:習う,外:応用するカテゴリー定 義基本知識の獲得教室は知識を得る場所である授業で習って外で応用する基礎−応用の基礎だものを実際に友達が話しているのを聞くとうれしくなると話した。エレーヌは授業の際にも,日本人の友達から聞いた言葉や話した内容などを披露することがたびたびあり,インタビューからは日本人の友達との場が,授業の学習内容を確認する場となっていることがうかがえた。3-2.データ抽出の方法インタビューで得られたすべての音声データについてトランスクリプトを作成し,これを一次データとした。本研究は,限られた留学生の語りから,授業をめぐる問題点を明らかにすることを目的としている。そのため,インタビューデータの抽出には,コーディングによるカテゴリー化を行なった。授業に参加した留学生が留学生活の中で授業をどのように認識し,またクラスメイトをどのように認識しているかについて,個々の留学生の語りを他の留学生の語りと比較し,全体的な構造を明らかにすることで,この授業をめぐる問題点をさぐることができると考えた。日本語環境マップを見直し,トランスクリプトを通読した上で,1)留学生は授業をどのような場であると認識しているか,2)留学生は授業のクラスメイトの存在をどのように認識しているか,という問いに基づいて,佐藤(2008)を参照しながら発言内容に定性的コードをつけた。その上で,コードを比較検討することでカテゴリー化作業を行なった。具体的な作業手順は以下の通りである。1)「1行ごとのコーディング(line by line coding)」を実施し,発言ごとに内容を表わす単語や短い語句を割り当てることで「コード」を作成した。2)コード同士を比較して,類似するものを統合,分割し,コードのまとまりごとに内容を表わす語句を割り当てることで「カテゴリー」を作成した。3)日本語授業やクラスメイトの認識について,各カテゴリーが担っている役割をトランスクリプトから再検討し,カテゴリー間の関連づけを行なった。この関連づけによってまとめられたものを本稿では『グループ』と呼ぶ。コード,カテゴリーの生成手続きの具体例を以下に示す。表3中,1から5の発言例において,授業は「知らない知識」や「基本」を得るところとして表早稲田日本語教育実践研究 第1号/2013/1-15発言例表3 コード,カテゴリーの生成手続き例クラスは,私にとって。クラスは,いろんな,なんか知らない知識,を取るの場合(※場所)ですよ。たぶん,もし授業がなかったとしたら,頭の中に入る情報量が,めっちゃ少なくなります。/たぶん,私にとって,もし友だちの中で話しながら,勉強するのも多いんですけど,やっぱ漢字とか多いんじゃないですか。友達と漢字の勉強,ちょっと無理ですよね。でも基本は,日本語の授業で習って,それを使うのが友達や銀行。もっと,日本語を増やす↑,ことにするんです。これは授業で得た知識を日常会話に利用することができると思います/だんだん授業で,言葉,役立てる言葉を覚えて,友だちとの会話に使ってとか,サークルの活動のときにも使って。そう,ですね。これは,新しい知識を習うところ,これは応用するところな感じで。
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