① 素材1の音声を聞く。1回② シャドーイング。2回③ 内省を促す。(1回目と同様の問いかけをする)1回目と同様の手順で行う。2回目と同様の手順で行う。2回目と同様の手順で素材1と2の両方を行う。2回目3回目4回目5回目素材1,2① 素材1の音声を聞く。1回② シャドーイング。1回③ 素材スクリプトを配布し,言葉や文の意味を確認させる。④ スクリプトは見ないで,シャドーイング。1回⑤ 内省を促す。 Q1: 音の高さ低さに注意してシャドーイングできましたか? Q2: 日本語のリズムに注意してシャドーイングできましたか? Q3:スピードについていけましたか? Q4: 意味がわからなくても気にしないでシャドーイングできましたか? (スクリプトを回収する)1回目②5回のシャドーイング実践が終了した1週間後に各クラスにてプレテストと同一内容のポスト●42早稲田日本語教育実践研究 第1号/2013/37-47表3 実践方法素材1素材25.調査5-1.調査方法本研究では,異なる日本語レベル(初級・初中級・中上級)のクラスにおいてシャドーイング実践を行い,その効果をみるために実践期間の前後に音読調査を実施した。調査方法は以下のとおりである。①実践指導の前の週に各クラスにて調査対象語(20語)を使用した課題文12)を音読し録音13)(プレテスト)。テストを実施。調査が終了した後,プレテストとポストテストの結果を比較し,各学習者にフィードバック14)を行った。5-2.調査結果および考察プレテストおよびポストテストの結果15)を以下に示す(表4)。プレテストとポストテストの平均値に差がみられるかについて統計手法のt検定で分析したところ,どのレベルにおいても有意差がみられ(初級t (13) = 4.920,p<.01,初中級t (15)= 4.311,p<.01,中上級t (22) = 4.307,p<.01),アクセントの向上が認められた(図1)。また,日本語レベルによってアクセント向上の伸びに差があるかどうかを統計手法の分散分析で分析したところ,有意差はなく(F (2, 50) = 0.820 n.s.),どのレベルにおいても同程度アクセントが向上することが認められた(図2)。さらに,語別にプレテストとポストテストの結果を比較したところ,どの語においてもアクセントが向上していることが示された(図3)。したがって本実践方法は,異なる日本語レベル(初級・初中級・中上級)のクラスにおいて有効であり,学習者はアクセント核を把握し,シャドーイング素材以外の場面でもそれぞれの語を正しいアクセント核で再生できるようになると考えられる。
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