早稲田日本語教育実践研究 第1号
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●38ト指導が容易になる。1-2.シャドーイングとはシャドーイングとは,聞こえてきた音声をそのまま繰り返す練習方法で,一文が終わるのを待たずにすぐさま再生するというところがリピーティングと異なる点である。シャドーイングは,同時通訳者のための訓練法として知られ,英語教育において広く実践されている。近年では日本語教育にも取り入れられるようになり,その研究も行われるようになってきた。シャドーイングはコンテンツ・シャドーイング(意味理解に焦点を当てたシャドーイング)とプロソディー・シャドーイング(音声面に焦点を当てたシャドーイング)に分けられ,プロソディー・シャドーイングは音声習得,特に韻律部分に有効であることが指摘されている(阿・林2010)。このプロソディー・シャドーイングを使って,自然にアクセントを覚えることができれば,学習者の負担が軽減されるものと考えられる。しかし,現在示されているシャドーイング方法は様々で,どのような実践方法がアクセント習得に有効であるかは,まだ分かっていない。また,どのような素材が適しているのか,初級から実践が可能であるのかなど,まだ検討されていないことが多くある。1-3.シャドーイング教材の検討現在,シャドーイング教材は,複数出版されており,それぞれにシャドーイングの練習方法が示されているが,教材によってその方法は様々である。そこで,現在出版されている主な英語のシャドーイング教材(a〜d),および日本語のシャドーイング教材(e〜g)に示されている練習項目および練習の流れを以下に提示し1)(表1),比較検討を行い,教室における実践方法の可能性を考える。教材名a.<英語>『決定版 英語シャドーイング 入門編』コスモピアb.<英語>『決定版 英語シャドーイング』コスモピアc.<英語>『ゼロからスタート シャドーイング』Jリサーチ出版d.<英語>『はじめてのシャドーイング』学習研究社e.<日本語>『シャドーイング 日本語を話そう 初〜中級編』くろしお出版f.<日本語>『シャドーイング 日本語を話そう 中〜上級編』くろしお出版g.<日本語>『シャドーイングで日本語発音レッスン』スリーエーネットワーク練習項目①リスニング②マンブリング③意味チェック2)④シンクロ・リーディング/パラレル・リーディング3)⑤プロソディー・シャドーイング⑥コンテンツ・シャドーイング早稲田日本語教育実践研究 第1号/2013/37-47

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