1) 高等教育機関に在籍する日本語学習者には,入学が容易で,在学中も金銭的な心配をするこ注 4) 「言語実践」とは,言語に関する知識と言語の運用を統合するための活動を行う科目である。6) 名前は全て仮名である。 ・専門職:翻訳・通訳 ・会社員:在仏日系企業の社員,日本企業の社員,在日仏系企業の社員●343) 他に,日本語を主専攻としない学習者を対象とする週2時間のDUFL(Diplôme universitaire トフォリオ」作成活動により「日本語学習と自身の人生のつながり」を省察する機会を学習者に提供することは,「多様性」を考慮した日本語教育の第一歩となるであろう。となく,学業に専念できるという利点がある。柴田(2008)は,フランスの国立の高等教育機関に関し,次のように述べている。「特に大学においては,高校を卒業したバカロレア(大学入学資格)保持者は,無試験で大学に入学できる制度となっているうえ,安い登録料は徴収するが,授業料は無料とする方針を政府は堅持している」(p. 5)。2) 日本学科に入学する学習者の大半が,初めて日本語を学習する学習者である。français de langue:外国語資格)という日本語コースが設置されている。DUFLは,他学科の学生が選択外国語科目として履修する場合が多い。正規学生以外の一般社会人が DUFLを履修することも可能である。5) 1学期終了から2学期開始までの期間は約3週間である。期間が短いため,学習者の具体的な目標や学習計画に大きな変化はないであろうという予想に基づき,2学期開始時には活動を行わなかった。7) 代表的な日本・日本語に関連する職は,次のとおりである。 ・教職:在仏日本語教師(中等教育の高等教員職,高等教育の准教),在日フランス語教師 ・公務員:日本大使館及びアソシエーションの職員,在日フランス大使館の職員参考文献青木直子(2006a)『日本語ポートフォリオ 改訂版』〈http://www.let.osaka-u.ac.jp/~naoko/jlp/〉(2012年12月5日).青木直子(2006b)『学習支援者の方へ』〈http://www.let.osaka-u.ac.jp/~naoko/jlp/support.html〉(2012年12月5日).大谷尚(2011)「SCAT: Steps for Coding and Theorization―明示的手続きで着手しやすく小規模データに適用可能な質的データ分析手法―」『感性工学』10(3),155–160.黒田史彦・古賀和恵・坂田麗子・武一美・古屋憲章・柳田直美・相浦裕希・山本由紀子・横山愛子 (2011)「日本語学習ポートフォリオ(試作版)の運用及び使用実態―自律的日本語学習が可能な環境の整備に向けて―」WEB版『日本語教育 実践研究フォーラム報告』 〈http://www.nkg.or.jp/kenkyu/Forumhoukoku/2011forum/2011_P14_kuroda.pdf〉.大場淳(2009)「フランスの大学改革―サルコジ=フィヨン政権下での改革を中心に―」『広島大学高等教育研究開発センター大学論集』41,pp. 59–77.柴田治呂(2008)「フランスの大学改革」『欧州科学技術・イノベーション報告』独立行政法人科学早稲田日本語教育実践研究 第1号/2013/17-35
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