早稲田日本語教育実践研究 第1号
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A–1 ジュリ(女性,20代,3年次)A–2 ルカ(男性,40代,2年次)1学期開始時,イヴにとって,大学の日本語授業は,「日本語技能獲得の場」であった。その後も,●28上記の図1のように図示できる。5-2-3.(b)学習者は大学の日本語授業をどのように位置づけているか(b)の観点で「ポートフォリオ」の記述を分析した結果,次ページの表4のようなカテゴリー,サブカテゴリー,構成概念が得られた。表4で示した構成概念を紡ぎ合わせ,記述した個々の学習者のストーリーラインを以下に示す。ジュリにとって,大学の日本語授業は,1学期開始時より一貫して「日本語知識・技能獲得の場」及び「協働を学ぶ場」という位置づけであった。また,ジュリは大学の日本語授業内外で,特に日本語知識(語彙)の習得を中心に,「主体的日本語学習」を継続していた。1学期開始時,ルカにとって,大学の日本語授業は「日本語による口頭表現を聴く場」であった。その後,「互いに学び合う場」という位置づけが加わった。また,ルカは,大学の日本語授業内外で一貫して「主体的日本語学習」を継続していた。1学期開始時には大学の日本語授業内のリソースを活用し,「主体的日本語学習」に取り組んでいたが,その後,大学の日本語授業内外のリソースを活用し,「主体的日本語学習」に取り組むようになった。さらに,2学期終了時には,渡日することにより,「卒業後の日本語学習・使用の場」を確保しようとしていた。A–3 イヴ(女性,20代,3年次)大学の日本語授業は,イヴにとって「日本語知識・技能獲得の場」であった。しかし,大学の日本語授業をとおし,次第に「無力感」を覚えるようになった。また,イヴには,1学期開始時から「授業依存的日本語学習」を行う傾向があった。しかし,その後,依然として授業を重視しつつも,大早稲田日本語教育実践研究 第1号/2013/17-35図1 日本語学習と学習者の人生との関わり

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