2–2で述べた「学習者一人ひとりが,自身の学習プロセス,学習状況,学習目標を把握する活動」(b)学習者は大学の日本語授業をどのように位置づけているか。1) 1学期開始時に書かれた「②目標」を次の三種に分類した。(A)日本・日本語に関連する職に2) (A)(B)(C)から数編ずつ,計8編の記述が豊富な「ポートフォリオ」を抽出した。(A)か〈2〉 〈1〉で書き出した部分の意味を表すような別の語を付す。〈4〉 〈1〉から〈3〉までを良く読み,分析者自身が新たな構成概念を考え,それを付す。〈6〉ストーリーラインに即し,理論(本データから言えること)記述を行う。 ●24○ ○ ○ ○ ○○○○○○○○○○○○ ○ ① 学習歴ときっかけ ② 目標 ③ 学習時間 ④ 学習の方法 ⑤ 得意・不得意 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ⑥ 具体的な目標 ⑦ 学習目標・計画 ⑧ 目標・計画の達成度 ⑨ 自分の勉強に対する満足度 ⑩ 発表の感想 ⑪ 授業・試験の感想や反省,印象に残っていること 早稲田日本語教育実践研究 第1号/2013/17-351回目:1学期開始時2回目:1学期終了時3回目:2学期終了時表2 日本語ポートフォリオの記述項目◆「ふり返り」◆「目標と学習計画」5.日本語ポートフォリオの記述の分析5-1.分析概要を通じ,「日本語学習と自身の人生のつながり」を省察する必要があるという問題意識に基づき,4章で説明した「ポートフォリオ」作成活動により得られた記述を,次の二つの観点で分析した。(a)学習者は日本語学習と自身の人生をどのように関わらせているか。まず,下記の 1) 2)の手順で「ポートフォリオ」の記述を分類,抽出した。就くことを希望しており,学習目的が明確に示されている記述,(B)日本・日本語に関連する職に就くことを希望しているが,学習目的が明確に示されていない記述,(C)日本・日本語に関連する職に就くことを希望していないことが示されている記述。ら4名分(A–1ジュリ,A–2ルカ,A–3イヴ,A–4ローラ),(B)から2名分(B–1アメリ,B–2マイテ),(C)から 2名分(C–1マリナ,C–2リザ)の「ポートフォリオ」の記述を抽出した6)。次に,分類,抽出した「ポートフォリオ」の記述を,大谷(2011)を参考に,上述した(a)(b)二つの観点で分析した。具体的な分析の手順は,次のとおりである。〈1〉テクストの中の着目すべき語句を書き出す。〈3〉 〈2〉で付した語を本データの文脈で説明できるような語を記入する。〈5〉 〈4〉で付した構成概念を紡ぎ合わせ,ストーリーラインを記述する。
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