早稲田日本語教育実践研究 第1号
27/96

1)活動の説明2)「ポートフォリオ」の保管3)「ポートフォリオ」のフィードバック●231回目(1学期開始時)の活動では,「ポートフォリオ」の記述項目として①〜⑦を設定した。24)学習者間の共有の場の構築山内 薫/フランスの国立大学における日本語ポートフォリオ作成活動論 文4-2.日本語ポートフォリオ作成活動における教師の役割本活動における教師の役割は,主に,以下の四点である。本活動を行うにあたり,上述した活動内容を学習者に説明した。なお,学習者に一方的に説明するのではなく,やり取りをしながら進めた。特に,「ポートフォリオ」作成の意義については,学習者自身が日頃感じているであろう「フランスの国立大学の日本語教育と一人ひとりの学習者の日本語学習とのずれ」に関し,学習者と教師で話し合った上で,教師から以下の三点を説明した。①自身の学習をふり返ることで,「これまで・今・これから」をつなぐこと,②自身の日本語学習を可視化することにより,日本語学習と自身の生活や人生の関わりを実感できるようになること,③発表により,クラス内でお互いの日本語学習(教室内外の学習のつながり)を共有すること。作成された学習者の「ポートフォリオ」は,教師である筆者が,学習者ごとのファイルに保管した。そして,次の「ポートフォリオ」を作成する際に,前回までに作成した「ポートフォリオ」を返却した。「ポートフォリオ」作成後に再び回収し,保管した。基本的には,学習者が,自身でフィードバックを行った。教師は,「いい,好ましくない」等の評価をしてしまうようなフィードバックは一切行わなかった。だが,口答試験(面談型)において,「ポートフォリオ」を介してやり取りを交わす中で,「ポートフォリオ」の記述内容に関し,質問をする場合もあった。その場合は,試験ではあったが,当該の学習者への純粋な関心に基づき,問いかけを行うことを心がけた。学習者が「ポートフォリオ」を互いに公開し,共有できる場を創った。具体的には,3–1で述べた「『ポートフォリオ』の発表」を行った。4-3.日本語ポートフォリオの記述項目「ポートフォリオ」の記述項目は,次ページの表2のとおりである。回目(1学期終了時)の活動では,③〜⑦に加え,⑧〜⑩を設定した。3回目(2学期終了時)の活動では,2回目の③〜⑩のうち,⑩を⑪に変更した。記述方式は,自由記述方式である。ただし,項目⑧に関しては,達成度に応じ,1〜5の数字を選択する方式を採った。また,2回目及び3回目の活動においては,それ以前に記述した内容を読み返し,十分に省察した上で,記入することとした。

元のページ  ../index.html#27

このブックを見る