●964–2–3で述べたように,私たちは,「09秋」において,過去にクラスのメンバーであった学習者「10春」開始当初にも,「09春」,「09秋」と同様に,私たちはクラス活動に対し積極的な関与・早稲田日本語教育実践研究 刊行記念号/2012/85-105リピーターの学生が「このクラスがどんなに得がたいクラスであり,今学期,自分がこのクラス(活動)をどのようにしていきたいか」を熱っぽく語る姿を見たとき,このクラスが学期ごとに区切られるタイプのクラスではなく,継続性を持った活動体であることを実感した。(100408 授業記録_コメント)ICCの山田さん(仮名)からは,今後も協力していただけるというお話をいただいた。いい協力関係を築いていけそうな手ごたえがあった。大いに期待したい。(100422 TA報告書_コメント)今回,ICCとつながりを持ったことにより,広範囲にわたる広報や学内外から取材が実現したことは喜ばしいことである。(中略)「イベント企画プロジェクト」がICCや協賛店と継続的なつながりを維持していくことにどのような可能性があるかを検討する必要がある。(100701 授業記録_ミーティング)教師は話し合わない,決定しない,計画しない,実行しない,何もしない。座っているだけ。(100408 授業記録_授業内容)ティであると捉えるようになった。とのつながりを作っていこうという着想,すなわち,クラスのメンバーの学期を越えたつながりという着想を得ていた。しかし,つながり方に関する具体的なイメージは持っていなかった。リピーター学生の登場により,私たちは,クラスのメンバーの学期を越えたつながりを具体的にイメージできるようになった。その結果,「イベント企画プロジェクト」の教室は,学期ごとに区切られたコミュニティではなく,時間的な広がりを持ったコミュニティであると実感するようになった。また,4–3–1で述べたように,「10春」よりICCの学生スタッフによるイベント企画の手順に関するレクチャーが行われるようになった。レクチャーを実施してみて,私たちは,次のような手ごたえを得た。ICCの学生スタッフによるレクチャーは,「09秋」までのリフレクションを踏まえ,学習者に外に開かれたイベントの企画・開催をイメージしてもらうことを意図し,始められた。私たちは,ICCのスタッフとのやりとりを通して,「いい協力関係を築いていけそうな手ごたえ」を得た。そして,次のようにICCとの「継続的なつながり」を志向するようになった。4–2–3で述べたように,「イベント企画プロジェクト」の教室を空間的に拡張する可能性を持つコミュニティとして捉えるという着想は,すでに「09秋」に得ていた。「10春」に上述したICCとの連携が始まったことにより,私たちは,「イベント企画プロジェクト」の教室を固定的で閉じられたコミュニティではなく,他の様々なコミュニティとつながり,空間的に拡張する可能性を持つコミュニティであると実感するようになった。4-3-4.2010年度春学期「イベント企画プロジェクト」における教師観の変容介入は行わないという態度を表明した。4–3–2で述べたように,「10春」は,開始当初からリピーター学生がクラス活動を牽引していた。そのため,私たちがあえて関与・介入せずとも,クラス活動が進行していった。リピーター学生がクラス活動を牽引する様子を見て,私たちは,「イベント企画プロジェクト」における担当者の役割に関し,次のような感想を抱いた。
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