早稲田日本語教育実践研究 刊行記念号
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●871) 「イベント企画プロジェクト」を実践する過程で,私たちの「イベント企画プロジェクト」の2) 「イベント企画プロジェクト」を実践する過程で,私たちの「イベント企画プロジェクト」の3) 「イベント企画プロジェクト」を実践する過程で,私たちの「イベント企画プロジェクト」に4.「イベント企画プロジェクト」における私たちの価値観の変容古屋憲章,他/クラス担当者の実践観,教室観,教師観はどのように変容したか特集 教室中心主義からの解放/寄稿論文の予定,授業内容,授業に関するコメント,授業後に行ったミーティングの話し合い内容,次回の予定等である。TA報告書は,毎週授業後にTAが執筆した。TA報告書に記載されている内容は,活動の様子,授業に関するコメント,今後の課題等である。これら分析資料を,次の三つの観点で分析した。実践観はどのように変容したか。教室観はどのように変容したか。おける教師観はどのように変容したか。分析は,次の手順で行った。①資料から担当者の行動,考えが記述されている部分を抜き出す。②①で抜き出した部分に上述した1)2)3)の観点に基づき,コードを付す。③②で付したコードをグルーピングし,カテゴリーを作る。次章では,上述した1)2)3)の変容の過程を,分析により得られたコード,及びカテゴリーを用い,記述する。本章では2009年度春学期から2011年度春学期までの私たちの価値観が変容する過程を学期ごとに記述するという形式を採る。まず,当該学期の「イベント企画プロジェクト」の概要を簡単に記述する。次に当該学期における私たちの「イベント企画プロジェクト」の実践観,及び教室観,「イベント企画プロジェクト」における教師観が変容する過程を記述する。4-1.2009年度春学期「イベント企画プロジェクト」(以下「09春」)4-1-1.実践概要■期間:2009年4月9日〜7月23日(週1コマ=90分×15週)■クラス参加者:学習者22名,日本人学生ボランティア1名,担当者1名,TA1名5)■クラス活動の流れ:学期開始当初より,クラス活動の進行は学習者に委ねられた。序盤には,選出された2名が司会を担ったが,中盤以降,司会者は毎週交代することになった。「イベント企画プロジェクト」は,2009年度は「討論会プロジェクト」という科目名であり(注2参照),「09春」は,イベントとして討論会を行うという設定であった。そこで,討論会のテーマが検討され,「同性結婚はどうか」というテーマに一旦は決定した。テーマ決定後,このテーマで討論会ができるかどうかを検討するために,模擬討論会が行われた。その結果,再度テーマを設定し直すことになり,最終的には「国際交流―国際交流のためのイベントはたくさんあるのに,うまく交流できないのはなぜか―」というテーマに決定した。その後,企画内容の検討が行われ,四つの役割班に分かれて準備がなされた。そして,7月11日に行われたイベント,「国際交流パーティー」には,学内外の日本人学生や日本語学校の学生など,クラス外から30名を超える参加があった。イベントは,アイスブレーキングのためのゲーム→グループディスカッション→グループディスカッションで話し合った内容の全体

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