●822) 「状況モデル」とは,文章からの情報と読み手がそれ以前に持っていた背景知識が統合され注 4) 筆者は当該の授業観を提案するが,それによって,他の授業観,及び,授業形態を否定する5) 本項目は当該クラス活動中盤期に行ったものであるが,内容的には参加前の意識についての6) 期によって参加状況は異なる。8) 朝日小学生新聞(朝日新聞社発行)早稲田日本語教育実践研究 刊行記念号/2012/71-83参加者意識にどのような変化が生じたかを,非漢字圏の参加者を中心に見てきた。アンケートとそれに基づくフォローアップインタビューの結果から,参加者達は読みに対するストレスの軽減と能力の向上を感じていることがわかった。クラスという場で,教師や他の参加者と時空間を共有して読むことは,参加者に安心感を与え,能動的に文章と対峙することを可能にしていると言えるのではないだろうか。1) 目黒真実(2009)『中上級参加者のための日本語読解ワークブック』(アルク)/三浦昭・岡まゆみ(1998)『中・上級者のための速読の日本語』(The Japan Times)/産能短期大学日本語教育研究室(1991)『日本語を楽しく読む本・中級』産能短期大学国際交流センター 等たテキストによって記述される状況全体の理解のこと(卯城2009)を指す。読み手が文章を読み進め,情報を得るたびに,状況モデルは刻々と変化し続けている。3) 早稲田大学日本語教育研究センターテーマ科目(2010年4月より)立場ではないことを予め申し上げておきたい。むしろ,それぞれの授業観,また新たな授業観に基づく様々な授業の形態によって,多様な側面から参加者の読みを支える環境を日本語教育の現場が提供し続けていけることを望んでいるものである。質問であるので,ここに分類する。7) レベル別日本語多読ライブラリー「にほんごよむよむ文庫」(アスク)9) 紙幅の関係上,詳細については割愛する。参考文献卯城佑司(2009)『「読めたつもり」の謎を解く』研究社.熊田道子(2011)「初級から初中級の学習者における読みの変容」『2011年度日本語教育学会 春季大会予稿集』.舘岡洋子(2000)「第二言語の読解における既有知識の働きと変容―創造的読み手の育成へ―」(博士学位請求論文).舘岡洋子(2005)『ひとりで読むことからピア・リーディングへ―日本語学習者の読解過程と対話的協働学習―』東海大学出版会.Anderson, N. J (1991): Individual differences in strategy use in second language reading and testing. Modern Language Journal75.Block, E (1986): The comparison strategies of second language readers. TESOL Quarterly. Vol. 20. No3.Davies, F. (1995) Introducing reading. London: Penguin Books.Deci, E. L., & Ryan, R. M. (1985): Intinsic motivation and self-determination. New York: Plenum.Deci, E. L., & Ryan, R. M. (2000): The “what”and “why” of goal pursuits:Human needs and the self- deter-
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