早稲田日本語教育実践研究 刊行記念号
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●74早稲田日本語教育実践研究 刊行記念号/2012/71-83力を伸ばしたい」(5) ④「日本語を読みたかったが,全然読めなかった」(2) ⑤「自分で上手に読むことは本当に難しい。他の授業中,言葉とかとてもストレスがあった」(5) ⑥「読むことは難しい。(欧米人にとって)漢字は難しい」(3) ⑦「自分のレベルを読みたい。他のクラスの本は私のレベルじゃないと感じる」(3) ⑧「他に読む機会がない」(3) ⑫「失読症だ」(1)〔漢字圏参加者〕⑦「自分のレベルを読みたい」(4) ⑨「好きな本が読める」(4) ⑩「読むことが好き」(3) ⑧「他に読む機会がない」(2)  ⑪「フリーの感じがある」(1)以上のコメントのうち①〜⑥,即ち,「日本語を読むことが苦手だから,上手になりたい」といったコメントは,全て非漢字圏の参加者のものである。本クラスを選択した非漢字圏の参加者の87%の回答が①〜⑥に分類されるが,これらの参加者は「④自分は読めない」「②自分は日本語で読むのは上手ではない」と感じ,「⑤他の読解授業においてストレスを感じている」ことに言及している。そして,「①読むことに対して苦手意識」を持ち,そのうえで,「②読む力を伸ばすためには,自分の力で読むことが必要だ」と感じている。また,「⑦自分のレベルを読みたい」と答えた参加者は,その後のフォローアップインタビューで,他の読解授業で読む教材が自分には難しすぎると述べている。一方,「⑨好きな本が読める」「⑩読むことが好き」「⑪フリーの感じがある」の3項目は,漢字圏の参加者によるものである。4-1-2 アンケート結果2「当該クラス活動参加前の自分の読み」5)(自由記述及びインタビュー)〔非漢字圏の参加者〕①「漢字が解らなかった」(12) ②「助詞ごとに文を区切り,ひとつずつ助詞の意味を気にしながら読んだ」(6) ③「私の国の言葉や英語と日本語は全然違う。英語だったら単語で分かれている。日本語は繋がっている。どこでわかれるのかわからなかった」(4) ④「縦書きを読むことが全然できなかった」(6)上記の結果から,自国の文章との違いに対するとまどいを感じ,苦手意識や不安感を抱えたまま,クラスで与えられた文章を読まざるを得ない状況にある非漢字圏参加者が多いことがわかる。〔漢字圏の参加者〕⑤読むのが今より遅かった。(6)⑥文章全体の理解が今より低かった。(2)漢字圏の参加者は,もともと読むことにそれほど困難を抱えていなかったため,「わからなかった」「できなかった」というコメントはなく,中盤期と比べると相対的に,読むスピードや理解力が低かったと述べるに留まっている。4-1-3 アンケート結果3「母語で本を読むのが好きか」(選択式)全体……89% 非漢字圏参加者……100% 漢字圏参加者……57%

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